きょうの日経サイエンス

2016年9月16日

母ザメは子宮内でミルクを与える ~ホホジロザメの繁殖の仕組み解明:沖縄美ら島財団

魚類最強のハンターとして知られるホホジロザメの母ザメは、妊娠初期に子宮内で脂質を多く含む液体(子宮ミルク)を分泌し、胎仔(子ザメ)がそのミルクを飲んで成長することが、沖縄美ら島財団(沖縄県本部町)の研究者らの調査研究で分かった。同財団が9月16日発表した。研究成果は英国のオンライン学術誌「Biology Open」に掲載される予定。ホホジロザメの繁殖の仕組みは未解明な部分が多く、今回の成果で謎の一端が明らかになった。世界的にも貴重な報告という。

同財団の研究者ら(代表者:佐藤圭一・総合研究センター動物研究室長)は沖縄県内の漁協の協力を得て、2014年と2016年に混獲されたホホジロザメの妊娠個体を解剖した。その結果、2014年に混獲されたメスの子宮内から、特異な形態を持つ胎仔6個体と、大量のミルク状液体(子宮ミルク)を確認した。さらに妊娠後期だった2016年の個体とも比較して繁殖の仕組みを解明した。

その結果、ホホジロザメは最初、自分の卵黄を栄養源に成長、その後は母ザメの分泌する子宮ミルクで成長する。子宮ミルクの存在が確認されたのはサメの仲間では初めての事例という。妊娠後期になると、子宮ミルクの分泌が止まるが、母ザメは大量の栄養卵を子宮内に供給し、胎仔はそれを摂取して成長する。母ザメは妊娠中、子宮の構造と機能を複雑に変えていくことが判明した。

 

ホホジロザメは成魚の全身液浸標本が、東京・国立科学博物館で10月2日まで開催されている「海のハンター展」で展示されている。このサメも同財団の特別協力で展示されている。

 

「海のハンター展」公式サイト

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