まえがき
危機を未来に活かすために 中西真人
第1章 新型コロナウイルス
病原体の実像に迫る 出村政彬/古田 彩
コロナウイルスはどこから来たのか S. メイキン
私たちはどう闘うか 座談会:専門家会議メンバーが語る日本の戦略
尾身 茂/脇田隆字/押谷 仁
第2章 変貌する感染症
温床と化す米国の大都市 M. W. モイヤー
気候変動で広がる人獣共通感染症 L. パーシュリー
温暖化で北極に広がる病気 C. ソロモン
第3章 熱帯に広がるウイルス
エボラ戦争 H. ブランズウェル
ポストエボラ症候群 S. ヤスミン
デング熱ワクチンの混迷 抗体依存性感染増強 S. ヤスミン/M. ムカジー
種痘廃止の死角 ポックスウイルスの逆襲 S. シャー
第4章 検査・治療の新発想
病原体ナノセンサー S. O. ケリー
病原体なんでも検出システム D. J. エカー
復活するか? ファージ療法 C. シュミット
インフルエンザの不思議 抗原原罪 A. J. クチャルスキ
第5章 細菌の生存戦略
バイオフィルムを退治する K. サウアー
微生物の長距離飛行 D. シュマーレ/ S. ロス
微生物の意外な協力関係 J. マーロウ/R. ブラークマン
中西真人(なかにし・まひと) ときわバイオ株式会社取締役(技術担当),産業技術総合研究所名誉リサーチャー,理学博士。1983年大阪大学大学院理学研究科を修了。大阪大学細胞工学センター助手,大阪大学微生物病研究所助教授を経て,2001年に産業技術総合研究所へ。この間,1984年から88年まで日本学術振興会海外派遣特別研究員(テキサス大学),1993年から96年まで新技術事業団さきがけ研究21研究員を兼務。2020年3月まで産業技術総合研究所主任研究員(ヒト細胞医工学研究ラボ長)。専門は分子生物学・細胞工学。RNAを使って細胞質で持続的に遺伝子発現を可能にする世界で唯一の技術を開発し,これを応用したiPS細胞作製技術の特許が日米欧で登録された。2014年12月,ベンチャー企業「ときわバイオ株式会社」を設立。日本発の技術を使った安全な遺伝子治療や再生医療の実現を目指している。