PROLOGUE
量子の過去と未来 細谷曉夫
CHAPTER 1 不確定性原理
光子の逆説 谷村省吾
不確定性原理の再出発 古田彩
物理学の常識に挑む数学者 古田彩
進化する不確定性原理 古田彩
「誤差」って何? 古田彩
「測れる」って何? 古田彩
「光子の逆説」は解けるか 谷村省吾
電子の記憶を消す 古田彩
CHAPTER 2 見えない量子現象を見る
量子世界の弱値 編集部
「光子の裁判」再び 波乃光子は本当に無罪か 細谷曉夫
量子テレポーテーションと時間の矢 井元信之
光子は未来を知っている 語り:Y.アハラノフ/聞き手:古田彩
CHAPTER 3 実在と認識の狭間
量子の地平線 編集部
揺らぐ境界 非実在が動かす実在 谷村省吾
情報から生まれる量子力学 木村元
Qビズム 量子力学の新解釈 H. C. フォン・ベイヤー
量子で囚人を解き放つ 筒井泉
実在の本質 場の量子論は何を語るか M.クールマン
CHAPTER 4 量子コンピューター
量子の限界を覆す D. ドイチュ/A. エカート
イオンで作る量子コンピューター C. R. モンロー/D. J. ワインランド
量子力学の多重現象を操り,測る 古田彩
冷やして量子計算 古田彩
ボース・アインシュタイン凝縮で計算 T. バーンズ/山本喜久
注目集めるD-Waveマシン 古田彩
細谷曉夫(ほそや・あきお) 東京工業大学名誉教授。1969 年東京大学理学部物理学科卒業,同大大学院博士課程を中退し73年大阪大学理学部助手。74 年博士号取得。大阪大学講師,助教授を経て88 年広島大学理論物理研究所教授,90 年東京工業大学理学部教授。量子宇宙論の数学的側面を長年研究していたが,「観測に結びつく物理学をやりたい」と,測定を直接に扱う量子情報科学の研究を新たに始める。2012年に東工大を定年退職。その後は3つの大学で物理学を教えつつ,地域のサイエンスカフェで宇宙と物理学について講演するなど,「前よりも忙しくなった」。著書に『量子コンピュータの基礎[第2版]』(サイエンス社,2009 年)など。