目次
第1章 時計仕掛けに見られるカオス
秩序のなかのかすかな乱れ/天文学的な予測と数学/数学モデルの目的/太陽系の安定性/軌道を乱す第三の天体/コンピューターの威力/ニュートンの法則とカオス/惑星の配置の謎
第2章 計時器
アンティキティラの機械/太陽と星の運動/天文周期を表すアナログ・コンピューター/ヒッパルコスの発見/プトレマイオスの宇宙/コロンブスの賭け/レギオモンタヌスからコペルニクスへ
第3章 空の放浪者
ティコとケプラー/ケプラーがめざした改革/地球中心説と太陽中心説/天体に働く物理的な力/蓄積された観測データの威力/時代を映す『新天文学』/八面六臂の研究活動/ケプラーの第三法則
第4章 思考の海
レンとフックとハレー/独立独歩の人、ニュートン/不滅の著作『プリンキピア』/数学の発展/理論物理学の始まり/運動の三法則/万有引力の法則/ニュートンの成功の光と影
第5章 時計仕掛けの惑星
ハーシェル、天王星を発見/気まぐれな惑星/栄誉は誰の手に/見つかったのは偶然!?/冥王星の発見
第6章 気まぐれな月
巨石の群れ/食の観測と予想/次々と見つかる月のリズムの変調/ニュートンの頭痛の種/数学者たちの挑戦/謎だらけの月の運動/三体問題への新たな取り組み
第7章 カオスの予言者
コンテストの課題/アンリ・ポアンカレ登場/位相空間の軌跡/受賞論文をめぐるトラブル/革命的な解/初期条件への鋭敏性/力学的カオスの種
第8章 帯状のすきま
ガスプラの横顔/小惑星の発見/見つかる、見失う/カークウッドのすきま/地球軌道を横切る小惑星/省惑星の不足と過剰/安定したカオス
第9章 ヒペリオンは転がる
奇妙な衛星ヒペリオン/ヒペリオンの光度測定/不規則に変動する光度曲線/カオスがつきもの、いびつな衛星/二十年かけた月の研究/人工衛星と安定した軌道/衛星軌道の視覚化
第10章 デジタル・オーラリ
数学者としては最高、行政官としては最低/ラプラスの太陽系/数理天文学者の心配/天体力学専用のコンピューター/時間を旅するデジタル・オーラリ/計算誤差の克服/冥王星の軌道に見られるカオス/広がっていくカオス
第11章 天体の不協和音
太陽系の将来の探究/地球にも見られるカオスの徴候/共鳴がもたらす予測不能性/太陽系はカオスの巣/カオスが果たした役割/奇妙で微妙な安定状態/時計仕掛けではなかった太陽系/月がもたらす地球の安定
第12章 驚異の機械
人間社会の混乱と天の秩序/アリストテレスの物理学/ベーコンの業績/ケプラー、ニュートン、ポアンカレ/解明はつねに一歩先/数理天文学の二つの流れ/残された謎
参考文献
訳者あとがき
索引
著者:アイバース・ピーターソン Ivars Peterson サイエンス・ライター。天文学や物理学,数学などの最新動向を各誌に寄稿している。科学知識の普及に関する業績に対し1991年にThe Joint Policy Board for MathematicsからCommunicationAwardを受賞した。著書にThe Mathematical Tourist(1988),Islands of Truth1990)がある。 訳者:野本陽代(のもと・あきよ) 慶應義塾大学法学部卒業。サイエンスライター。著書に『日本のロケット』(NHKブックス),『宇宙はどこまで見えてきたか』(岩波書店)など,訳書にP.コヴニー,R.ハイフィールド『時間の矢,生命の矢』草思社),T.フェリス『銀河の時代』(工作舎)などがある。