日経サイエンス 

カリマンタンの動物たち

カリマンタンの動物たち

安間繁樹 著

 最初の原稿を書いたのは、カリマンタンにやって来て満三年、多少ともカリマンタン全体が把握できるまでになった頃であった。その後、最後の原稿まで五年間が経っている。本著はいわばボルネオ島での八年間の私史である。動物の研究だけでなく自然や人の生活にも興味をもって各地を歩いた。そんな旅の中で知ったことは、当たり前のことなのだが、人間は気候風土にとけ込んで、それに合った生活を営んでいるということだった。家の造り、服装、生活道具は見かけからして違うが、人の営みと心はどこへ行っても一緒なんだなということだった。一方では自然に逆らうことなくその日その日を送る人たちにたまらない魅力を感じる時もあるが、他方、日本のような、あくせくしながらも一つひとつを確実にやり遂げていくせわしない社会の魅力も理解できる。そのあたりがカリマンタンに来て良かったと感ずる部分だ。

 

 カリマンタン滞在中の私の身分はJICA海外派遣専門家であり、この間、『ブキット・スハルトの哺乳動物』と『東カリマンタンの哺乳動物』の二つの英文テキストブックを作ったし、三つの論文も書いた。特に手作りで開館した展示室は各方面で評価され、さらなる充実が次期プロジェクトの柱の一つに予定されている。機会が与えられるならば、私も深くかかわっていきたい。

 

 さて、本著を書くにあたっては実にたくさんの方々のお世話になりました。すべての皆様に感謝致します。特にボルネオ島における研究の機会を与えてくださり、また、仕事のかたわら『原子力文化』へ連載することを承諾してくださいました国際協力事業団(JICA)に感謝致します。

 

 熱帯降雨林研究センターの日本人専門家の皆様には、開所以来のすべての方々とお会いしていますが、滞在中、公私ともにお世話になりました。ここに深く感謝申し上げます。

 

 最後に、「カリマンタン通信」を五年間にわたり連載してくださった原子力文化振興財団編集部ならびに日本ニュークリエイトの皆様、単行本としての出版のために多々御尽力くださいました日経サイエンス社の皆様に深く感謝申し上げます。

一九九四年一二月       安間 繁樹