チェスクラブの入会試験(問題)
チェスといえば,もちろん鏡の国が本家本元だが,先日のチェス王室主催のチェス大会で,ダイヤの7が鏡の国代表との優勝決定戦で第6戦までもつれ込むという快挙を成し遂げたせいで(2023年8月号「チェス大会の優勝決定戦」),不思議の国での人気にも火が付いた。ちょっとしたブームになっており,あちこちチェスが遊べるオンラインサイトができ,また碁会所ならぬチェス道場というのも繁盛している。
さて,スペードのエースは,残念ながら前回は代表の座をダイヤの7に譲ったものの,雪辱を期して次回に備えての練習場所を確保しようと,手近なチェスクラブへの入会を打診してみた。ところが,そのクラブは,従前は来るものは拒まずという方針だったのに,最近のブームのせいで,入会するにはテストを受けてそれに合格することが必要になったという。
クラブのマネージャーが言う。「テストでは,現クラブのメンバーのうち,我々が選んだ中庸どころの5人と1人1戦ずつ合計5回対戦して頂きます。交互に先手・後手となって対戦し,連続して2勝以上すれば合格です。引き分けは負けと同じ扱いですし,たとえ過半数に勝利していても,それらがとびとびで連続していないと,合格とは認められません。ただし,先手で始めるか後手で始めるかは,ご自分で選んで下さって構いません」。
対戦相手は中庸どころが選ばれるということだから,簡単のためにスペードのエースの勝率は相手が誰であっても同じで,先手の場合はa,後手の場合はbということにしよう。2023年8月号で述べたように,各対戦は先手のときのほうが後手のときよりもやや有利とし,0<b<a<1が成り立つものとする。
さて,読者には,まずウォーミングアップとして,もし対戦相手が6人いて,同様に6戦中に2連勝することが条件だとすると,先手で始めても後手で始めても,この先手の有利さが実質的に影響しないことを証明して頂きたい。
そして次は,スペードのエースの身になって,5戦中2連勝という条件の場合,クラブへ無事入会を果たすには,テストを先手で始めるのと後手で始めるのとどちらが良いかをアドバイスして頂きたい。
また対戦相手が7人いて,7戦中に3連勝することが条件だとしたら,テストを先手で始めるのと後手で始めるのとではどちらが入会しやすいだろうか?
答えは2023年11月号にて
