インフルエンザ,再び流行!(問題)
新型コロナウイルスによる感染症は感染拡大から4年目を迎えたが,依然として鎮静化の見込みが立たないようだ。ウイルスの進化とともに重症化リスクはやや小さくなったと言われているが,感染力はかえって増し,まだしばらくは世界中を騒がし続けることだろう。
さて,前に不思議の国を襲ったインフルエンザについて述べたことがあるが(2011年7月号「スペード兵士間のインフルエンザ感染」,単行本では『パズルの国のアリス』第27話),この脅威も繰り返すようで,不思議の国ではまたインフルエンザが大流行している。困り果てたトランプ王室は,ワクチンを打って免疫が確認されるまでは,兵士たちが免疫のない他の人と会うことをいっさい禁じた。
しかし,このような禁止令が徹底しないのは現実の世界でも不思議の国でも同じであり,ほぼ必ず違反者が出てくる。禁止令の発令前は兵士全員が陰性だったのに,発令してから全員の免疫が確認されるまでの間にダイヤの兵士の中で次々に感染者が出て,ついには10人全員が発症してしまった。みな重症化することなく数日で回復し,完全な免疫がついたのは不幸中の幸いだったが,ダイヤの兵士たちは怒り心頭のハートの女王に徹底的に問い詰められ,互いに秘密裏に会食していたことをそれぞれ白状した。
彼らの自白によれば,会食はすべて2人だけで行われ,3人以上によるものはない。また,会食の回数はダイヤの兵士全体で延べ18回であり,1回の会食を2人の兵士が数えていることから,会食は全部で9回あったと考えられる。最初の感染者は王宮外部からウイルスを持ち込んだと思われるが,ウイルスの感染力から考えて,あとは会食時にうつったとすれば,残り9人全員の感染も納得がいく。
この想定が正しいとして,ハートの女王はさらに問い詰め,9回の会食はそれぞれ誰と誰のものだったかを明らかにしようと考えている。そこで,今月号の問題として読者のみなさんに考えていただきたいのは,ダイヤの兵士10人全員の感染というこの悲惨な結果をもたらす会食ペア9組の組み合わせには全部で何通りのバラエティーがあるかということだ。
10人から2人を選んで作る会食ペアには10C2=45の可能性があるから,この中から9ペアを選ぶ組み合わせには45C9の可能性がある。さすがにこの組み合わせのすべてが全員感染という結果をもたらしうるわけではないが,それでも相当の数の組み合わせが存在するので,それが何通りあるかを考えていただきたい。
実は,全員感染が起こるには会食順も重要で,会食時に2人がともに陰性だったならば感染が起こらないわけだが,今回の問題では会食の順番は問題にしないことにして,たまたま全員感染が起こる不幸な順に会食が行われたものとする。
答えは2023年5月号に
