パズルの国のアリス

はぐれ者,集まれ!

坂井 公(神奈川大学非常勤講師) 題字・イラスト:斉藤重之

先月号で幽霊ホタルを捕獲できなかったからというわけでもないだろうが,ヤマネの姪たちは以前紹介した蟻に加え(2020年2月号 『大部屋と1人部屋どっちが好き?』),別種の蟻を飼い始めたようだ。

アリスが訪ねると,サンデイが出迎え,「今度の蟻たちも奇妙な習性があるのよ」と言う。「黒い紙を貼ったビンの中に入れておくと,今までの蟻と同じようにたくさんの小部屋がある巣を作るんだけど,蟻を何匹かずつのグループに分け,グループごとに適当な小部屋に入れると,小部屋の中で仲たがいでもするのか,数分後には各グループからはぐれ者が1匹ずつ出てくるの。そして,そのはぐれ者たち全員と,もともと1匹だけのグループだった蟻たち全員が空いている部屋にもぐり込んで新しいグループを作るの」。

「つまり,1匹のグループを含め,各グループから蟻が1匹ずつ離脱して,その全員で新しいグループを作って別の空き部屋を占拠するというわけね」とアリス。

「そうよ」とマンデイが話に加わる。「蟻たちは数分ごとにその離合集散を繰り返すんだけど,ここからがもっと面白いのよ。あたしたち,7人いるでしょ。それで各自が1つのビンを管理することにして,7つのビンそれぞれに巣を作らせた後,各ビンに蟻を36匹ずつ入れたの。いろんなことが起こるようにと,36匹すべてを1グループにして1つの小部屋に入れたり,たくさんの小部屋に数匹ずつ分けたり,グループ分けは様々にしてね。ところが数時間後に見てみると,どのビンにも蟻が1匹の小部屋,2匹の小部屋,3匹の小部屋,……,8匹の小部屋がそれぞれ1つずつ存在しているの」。

アリスは「その状態になると離合集散をやめるのかしら」と言いかけて,「いや,そうじゃない」と気がつく。

「そう」とチューズデイが口を挟む。「その状態になっても,はぐれ者が出て新しいグループを作るというのを繰り返すのだけど,8つの小部屋から1匹ずつ蟻が出てきて新しく8人部屋を作り,前からのグループは1匹ずつ数が減って1人部屋から7人部屋までが1つずつ残るのだから,各小部屋にいる蟻の数は小部屋全体では変わらないというわけ。だけど,不思議なのは,最初のグループ分けがどうであっても,必ずそういう状態に落ち着いてしまうらしいという点ね。どうしてかしら?」

ヤマネの姪たちが観察したこの事実は正しいのだが,読者のみなさんにはこの証明を考えていただきたい。それが今月号の問題だ。


答えは2023年3月号に掲載

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