パズルの国のアリス

ガラガラ争奪抽選

坂井 公(神奈川大学非常勤講師) 題字・イラスト:斉藤重之

 羊の老婆が経営している雑貨屋に珍しいガラガラが入荷したという噂が流れてきた。「珍しいと言ったって,たかがガラガラでしょ」とアリスは思ったが,やはりちょっと興味を惹かれて雑貨屋にやって来た。そして店の中を覗いて驚いた。いつもはガランとしているのに,今日はガラガラを求めて来た客で妙ににぎわっているのだ。

 その中にガラガラに目が無いトウィードルダムとトウィードルディーの双子もいる。双子は頭を寄せ合って何やら相談中だ。アリスに気がついた2人は不機嫌そうな顔で「こうライバルが多くちゃ困りものだな。君もガラガラを買いに来たのかい?」とアリスに聞く。アリスが「いや,面白そうと思って見に来ただけで,買うつもりはないわ」と答えると,少し安心したようで,「では,ちょっと知恵を貸してくれ」と言う。

 事情を聞いてみると,羊の老婆は,ガラガラを欲しがっている人が思いのほか多いと知ったせいか,妙に商魂たくましくなり,普通に値段をつけて売るのをやめて,次のような商売を考えたらしい。客には抽選券を買ってもらい,それから抽選を行う。売れた抽選券の中の1枚だけが当たりで,その抽選券を持つ人にガラガラを渡すというやり方だ。抽選券1枚の売値は銀貨1枚で,1人が何枚買おうとかまわない。

 ところが,抽選券の売れ行きは,羊の老婆の思惑どおりにはいかなくて,まだ20枚しか売れていないという。抽選券の販売時間はもうすぐ終了なので,アリスが買わないとしたら双子以外にもう買い手はなさそうであるが,2人はたとえ銀貨50枚との交換でもガラガラを手に入れたいと思っている。だからと言って抽選券を50枚買うのはバカげているし,そうしたからといって確実に手に入るとは限らず,その確率は

50/(20+50)=5/7

でしかない。逆に1枚だけ買うのは,それで当たれば大満足だが,当たる確率はわずか1/21である。

 双子がアドバイスを求めているのは,彼 らにとって抽選券を何枚くらい買うのが一番いいのかということだ。ガラガラの価値が銀貨50枚相当というのは,あくまでも双子にとっての心理的価値ではあるが,ガラガラを手に入れることでそれだけの満足感が得られるなら,その満足感の期待値と抽選券の買値との差を最大にするのがよさそうだ。それには何枚の抽選券を買うのがベストだろうか?


答えは2022年10月号に掲載

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