パズルの国のアリス

電子コイン投げ機(問題)

坂井 公(筑波大学アソシエイツ) 題字・イラスト:斉藤重之

 珍しく,お茶会3人組が揃ってイモムシ探偵局にやって来た。探偵助手のグリフォンに相談事があるという。

 居合わせたアリスとイモムシも一緒に話を聞いてみると,また鏡の国の白の騎士の奇妙な発明品がらみのことだ。賭け事やゲーム好きの3人組,いろいろな場面でサイコロを振ったり,コインを投げたりする。それぞれの目が出る確率を自由に設定できるサイコロがあると便利だという話になり,鏡の国を訪問したときに発明家として名高い白の騎士に相談してみたという。

 白の騎士は思いのほか商魂たくましいようで,「確かにそのようなサイコロがあれば,賭け事が大好きな鏡の国の国民性を考えても,大ヒット商品になること間違いなし」と考え,早速,試作品を作って3人組に送ってきた。とはいっても,いきなり電子サイコロ機を作るのは,機構が複雑で,白の騎士にとっても大変なので,まずは表裏の出る確率を自由に設定できる電子コイン投げ機を試作してみたという。確率p(0≦p≦1)をセットしてボタンを押すと,ディスプレーに「表」または「裏」と表示され,「表」になる確率がちょうどpになるというものだ。この試作品を3人組にテスト使用してもらい,改善点などを洗い出したうえで,さらに頑張って電子サイコロや電子ルーレットにまで拡張して売り出せば,それこそ自分の代表的発明品になるだろうという思惑らしい。

 さて,テスト使用を依頼された3人組,その試作品を使って最初に何を賭けようかと相談した結果,その試作品自体の所有権を賭けようということになった。だが,3人が1/3ずつの確率で所有権を得るようにするには,1回のコイン投げでは決められない。

 そこで考えたのは,まず「表」の確率を1/3にセットして,コイン投げを行う。そこで「表」が出たらヤマネが所有権を得ることにして,「裏」が出たらもう1回コイン投げを行う。2回目は「表」の確率を1/2にセットして,「表」が出れば三月ウサギ,「裏」が出れば帽子屋が所有権を得る。確かにそれなら平等だということで,実際にやってみようということになった。

 だがそのとき,試作品に白の騎士からのメッセージが同封されていたことを思い出した。いわく「これは試作品ですので,表が出る確率を一度セットするとその値で繰り返し使えますが,別の値にセットし直すには,こちらに一度送り返してもらう必要があります。こちらでリセットしますと,新しい値をセットできるようになります」。

 確率の設定を変えるためにいちいち送り返すのは面倒だ。そこで,3人組が次に考えた方法は,確率設定は1/2に固定しておき,コイン投げを2回続けて行う。「表表」と出ればヤマネが,「裏表」と出れば三月ウサギが,「裏裏」と出れば帽子屋が所有権を獲得する。「表裏」の場合はアイコということにしてコイン投げをやり直すというものだ。なるほど,この方法もやはり平等で,アイコがそう何度も続くこともないだろうから,そのうち決着がつくと思える。

 ところが,白の騎士からのメッセージにはさらに続きがあり,「試作品は充電量に問題があります。5回までのコイン投げなら確実に動作しますが,それ以上になるとちゃんと動作するかどうか保証できません」という。ということは,連続2回のコイン投げでアイコが続くと,充電量が足りなくなり,ちゃんと機能しなくなるかもしれない。そうなると,やはり白の騎士に送り返して充電してもらわねばならない。

 というわけで,3人組の相談は,確率設定は1種類だけで,5回以内の電子コイン投げによって確実に勝者を定める手段はないかということだ。もちろん3人それぞれが勝つ確率は1/3だ。うまい方法があるだろうか? あるならその方法を示し,ないならそのことを証明していただきたい。

答えは10月16日に

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