パズルの国のアリス

電球スイッチの奇妙な設定(解答)

 どんな点灯パターンも作れることを証明するには,逆にどんな点灯パターンからもすべての電球を消すことができることを証明すれば十分である。aiを第i番の電球とする。A⊂{a1 a2,…,a10}を任意の電球セットとし,それがどんな点灯状態であっても,ある一連のスイッチ操作によってA内の電球すべてを消灯できることを示そう(A外の電球については,操作によってそのオン・オフ状態がどう変わろうと気にしないことにする)。これを示すことができれば,A={a1 a2,…,a10} の場合を考えることで,すべての電球を消すことができることは自明であろう。

 証明はAの要素数#Aについての帰納法による。

 #A=1,すなわちAが1点集合{ai}の場合,電球aiが消えていれば,何も操作しなくてよい。もし電球aiが点灯しているなら,A中の奇数個の電球,すなわちaiの状態を切り替える操作を行えばよい。

 #A>1の場合,帰納法の仮定として,要素数が#A未満の集合BについてはBに属する電球をすべて消灯する操作はわかっているものとしよう。A内の電球で点灯しているものの数をkとする。kは偶数と考えてもよい。そうでなければ,最初にA内の奇数個の電球を切り替える操作を行うことで,点灯している電球の数kを偶数にできる。k=0ならば何も操作する必要はない。

 k≠0ならば,点灯している電球を2つずつ対にして{ai1ai2},{ai3ai4},…,{aik−1aik}とする。集合B1A\{ai1}(つまり,B1は集合Aから要素ai1を除いた集合)とB2A\{ai2}に対して,帰納法の仮定を適用して,B1B2の電球をすべて消灯する操作をそれぞれP1とP2とする。操作P1を行った結果,もし電球ai1も消えていれば,操作P1によりA内の電球が全部消えたことになる。また,操作P2を行った結果,もし電球ai2も消えていれば,操作P2によりA内の電球が全部消えたことになる。

 どちらでもないときは,P1のあとに続けてP2をやってみよう。少し考えるとわかるように,この操作の結果,Aの中ではai1ai2だけが消え,点灯している電球はai3ai4,…,aik−1aikとなる。なぜなら,それらは操作P1でいったん消灯するが,P2で再び点灯するからである。こうして,順次,同様な操作を繰り返すことで,Aの中で点灯している電球は2個ずつ減っていき,いつかは0個となる。

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