パズルの国のアリス

ピンポン島訪問記 (解答)

 似たような問題をご存じの読者もおられるだろう。その通り。どんな質問に対してもバカ正直に答える正直者と虚偽しか答えない嘘つきだけが出てくるタイプのパズルと,今回の一連の問題は同工異曲のものである。ただし,嘘つきはいなくて,みな正直だが言葉が違うというわけだ。

 さて,道を尋ねる最初の問題だが,目的を達するにはいろいろな形の質問が考えられよう。しかし,おそらく一番簡単な形の質問は,たとえば右の道をさして「こっちの道は港に通じているかと尋ねられたとき,あなたは『ピン』と答えますか?」というような形のものであろう。

 右の道が正しく港に通じているとしよう。道を尋ねた相手がピン族なら,もちろんこの質問に対する答えはピンだ。しかし,そうでなくポン族だったとしたら「右の道は港に通じているか」という質問への答えはポンであるから,「ピンと答えるか」という質問への答えは「いいえ」の意味のピンになる。従って,道を尋ねた相手がいずれの種族であっても,右が港への道であれば,答えはピンとなる。

 反対に左が港への道であるとしよう。「右の道は港に通じているか」という問いに対するピン族の答えはポンだから,「ピンと答えるか」と問われればそれに対する答えはポンである。一方,「右の道は港に通じているか」という問いに対するポン族の答えはピンだから,「ピンと答えるか」と問われれば答えはポンである。よって,どちらの種族も答えはポンになる。

 こうして,アリスには,尋ねた相手がどちらの種族でも,先の質問への答えがピンなら右の道が,ポンなら左の道が港に通じていることがわかる。

 次の一連の問題は,「右隣の人がピン族か」という質問に対するピンやポンという答えが実際は何を意味するかを冷静に分析すれば,ほとんど一網打尽に解答が得られる。

 尋ねられた人がピン族としよう。その右隣もピン族だったなら,この質問に対する答えはもちろんピンだ。右隣がポン族だったなら,答えはポンだ。反対に尋ねられた人がポン族の場合,右隣がポン族なら質問に対する答えはピンで,右隣がピン族なら質問に対する答えはポンだ。

 整理すると,結局,尋ねられた人と右隣の人が同種族なら答えはピンとなり,異種族ならば答えはポンとなることがわかる。つまり,ポンという答えは左の人から右の人へ移るときに種族が変わることを意味し,ピンという答えは種族が同じことを意味する。

 さて,質問が一周するとどういうことになるだろうか? 最初の人がどちらの種族であろうと,ぐるっと一周した結果,ポンという答えの回数が奇数回ということはありえない。なぜなら,ポンは種族が変わることを意味するのだから,それが奇数回だと,最初の人がピン族だとしてもポン族だとしても,一周して戻ってきたときにそれが入れ替わってしまい矛盾するからだ。

 ということで,チェシャ猫は「右隣の人がピン族か」という質問に対するポンという答えの回数は偶数回になることをあらかじめ知っていて,それゆえ,それまでのポンという回答数から「最後の人の答えは聞かなくてもわかる」と言ったのだ。

 次に,チェシャ猫の「何人がピン族で何人がポン族かわかった」という言葉から,どういうことがわかるかを考えてみよう。実は,こういうことがわかることは,普通の状況ではありえない。なぜなら「右隣の人がピン族か」という質問に対する答えからは,当人と右隣の人が異種族か同種族かという情報以外は何も得られないからだ。今,仮にピン族とポン族から16人を選びでたらめに並べて,「右隣の人がピン族か」という質問をしたとする。次にこの全員を,ピン族はポン族に,ポン族はピン族にスイッチしてやはり同じ質問をしたとすると,全員の答えはまったく変わらない。にもかかわらず,答えからピン族とポン族の人数がそれぞれわかったということは,こういうスイッチを行っても人数は変わらないこと,すなわちピン族とポン族は同数の8人ずつだったことを意味する。

 また,最初の人の種族をAとし,もう一方の種族をBとすると,ポンのところで種族が変わるのだから,最初の12人の答えが『ピン-ピン-ピン-ポン-ピン-ピン- ポン-ピン-ピン-ピン-ポン-ピン』だったことから,最初の13人の種族はA-A-A-A-B-B-B-A-A-A-A-B-Bだったことがわかる。A は既に8人いるので,残り3人は全員Bでなければならず,もちろん,この後には種族が変わることはない。よって,残りの3人の答えはすべてピンだったということになる。

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