パズルの国のアリス

ヤマネの姪たちの大学訪問(問題)

坂井 公(筑波大学アソシエイト) 題字・イラスト:斉藤重之

 ヤマネの7匹の姪たちにとって楽しみな日がやって来た。好奇心が強く,向学心が旺盛な姪たちにとって,大学とはどんなところか,どんな内容の授業をどんな学生たちに対してどんなふうにやっているかは大きな関心事である。親しくしているグリフォンに相談したところ,グリフォンは例の無限匹の学生がいるモグラ国のモグラ大学に話をつけてくれた。なんと,姪たちの向学心に感心した学長が授業の参観を特別に許してくれたのだ。

 ところが実際に授業を見学してみるとがっかりである。学生が無限匹いるといっても,1匹の教員が無限匹の学生に対して巨大な教室で講義を行うというわけではなく,姪たちが参観を許された教室では,100匹の学生が10行10列に並んだ机を前にして座っていた。

 さすがに講義の内容は姪たちにはちんぷんかんぷんだったが,それよりも,教員の熱意のなさはあきれ返るばかりで,話のあまりの退屈さに,せっかくの機会にもかかわらず,姪の何匹かは思わずうとうとするほどだった。どうやら,内容がわかっているかどうかはともかく,学生たちにとっても退屈さの点では大差ないらしく,机に突っ伏して眠っている学生が大半で,講義が終わったときには,起きている学生がちらほらと何匹かいるだけだった。

 参観後,グリフォンに感想を聞かれたサンデイが言う。「ひどいわね。大学生なんてどこの世界でもこんなものなのかしら。数えてみたら,講義が終わったときに起きていた学生は10匹だけよ」。マンデイも言う。「起きていた学生どうしが前後か左右に隣り合っているペアは,最後には一組もなかったわ」。

 「でも妙なものね。眠りというのはうつるのかしら。ずっと見てたけど,起きている学生が眠ってしまうのは自分の前後か左右に隣り合う学生のうち少なくとも2匹が眠っているときだけよ。逆に眠っている学生であっても,自分の前後か左右に隣り合う学生のうち少なくとも2匹が起きている場合は,目を覚ますことがあったわ」とチューズデイ。「それ以外の場合には学生たちが状態を変えることはなかったし,2匹以上の学生が同時に状態を変えることもなかったわね」。

 それを聞いてグリフォンが言う。「ふーむ。よく観察していたね。きみたちの話からわかることがあるぞ。きみたちが参観を始めたときには少なくとも10匹以上の学生が起きていたってことだ」。読者には,このグリフォンの言葉の根拠を考えていただきたい。

 

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