パズルの国のアリス

ヤマネの姪たちの大学訪問(解答)

坂井 公(筑波大学アソシエイト) 題字・イラスト:斉藤重之

 この問題は,10×10=100匹の学生だけで考えるより,その周りにダミーの学生たちをぐるっと配置して12×12=144匹で考えるほうが話が簡単になりそうだ。ただし,このダミーの学生たちは,姪たちが参観を始めたときに眠っていたとしよう。すると,問題の条件より,ダミー学生は講義中一度も目を覚ますことなく,ずっと眠り続けていることになる。

 さて,もとの100匹の学生たちの場合に起こりうる状態変化は,ダミー学生を含めた144匹の場合でも起こりうることに注意していただきたい(もちろん,この逆は正しくなく,例えば,目覚めていた端の学生がダミー学生の影響で眠ってしまうということが144匹の場合には起こりうる。だが,たまたまそうはならなかったと考えればよい)。

 問題を考えるうえでカギとなるのは,異なる状態で前後か左右に隣り合っている学生ペアの総数である。隣り合った学生ペアで,眠っているか目覚めているかの状態が一致しているペアを「ホモペア」,状態が異なっているペアを「ヘテロペア」と呼ぼう。「講義終了時に10匹の学生が起きていた」というサンデイの証言と「それらの学生で前後か左右に隣り合っている者は一組もなかった」というマンデイの証言を合わせると,講義終了時の段階でヘテロペアは40組だったことがわかる。なぜなら,起きていた学生それぞれの隣には(ダミー学生も含めて)4匹の寝ている学生がいたわけだから。

 次に,ある学生が状態変化を起こす前と後で,このヘテロペアの数がどう変わるかを考えよう。チューズデイの証言にあるように「2匹以上の学生が同時に状態を変化させることはなかった」ということから,ある時点でヘテロからホモ,あるいはホモからヘテロに変化する可能性があるペアは,そのときに状態変化を起こした学生を中心とする4組だけである。

 これもチューズデイの証言にあるように「起きていた学生が眠ってしまうのは,その周囲(前後および左右)に眠っている学生が2匹以上いるときだけ」なので,その学生が眠りに落ちることで,少なくとも2組のヘテロペアがホモペアに変わる。一方,ホモペアのうちヘテロペアに変わるのはたかだか2組だ。

 また,「眠っていた学生が目を覚ますことがあるのは,その周囲に起きている学生が2匹以上いるときだけ」なので,その学生が目覚めることで,少なくとも2組のヘテロペアがホモペアに変わり,たかだか2組のホモペアがヘテロペアに変わる。

 いずれにせよ,学生が状態変化を起こしたときの前後で,へテロペアの数が増えることはありえない。

 このことは講義中,一貫しているので,講義中のどの時点であってもそのときのヘテロペアの数が講義終了時のヘテロペアの数,40よりも少ないことはない。もし,参観開始時に起きていた学生数が9匹以下であったとしたら,それらの学生がどこに座っていたとしてもヘテロペアの数はたかだか36にしかならない。これがグリフォンの言葉の根拠だ。

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