パズルの国のアリス

怠け者3人組のコーカスレース(問題)

坂井 公(筑波大学アソシエイト) 題字・イラスト:斉藤重之

 ドードー鳥たちが中心になって,またコーカスレースが開催された。アリスはレース自体には参加しないが,主催者に招待されてレース会場にやって来た。入賞者への賞品をアリスが出すことがいつの間にか定着してしまったのだ。今回のコーカスレースのやり方は特に変わったところはなく,決まった周回コースを参加者が好きなペースでぐるぐると回るだけだ。レースがいつ終わり,勝者をどうやって決めるのかは相変わらずさっぱりわからない。

 アリスがコース途中の表彰台が設置された地点に来てみると,今まさにレースの真っ最中であり,ネズミや小鷲,アヒルなどの常連たちが次々に通過していく。汗をかきかき,フラフラになりながらも,頑張って走っていく者もいる。

 お茶会3人組が参加しているという噂を小耳に挟んでいたので,アリスは周囲にいるやじ馬に3人の状況についてそれとなく聞いてみた。スピードが要求されるレースでないのはよくわかっているが,それにしても3人とものんびりしたもので,コースを一定のペースで散歩しているかのようにゆっくり巡っているという。コース1周を三月ウサギは40分,ヤマネは50分,最大の怠け者の帽子屋となると60分もかけてデレデレと歩いているようだ。

 アリスはあきれはしたものの,3人を応援しようと,とりあえず表彰台の前に陣取って通過を待つことにした。3人のうち誰が最初に自分の前を通過するのか楽しみだ。

 今,3人がコース上のどこにいるかについてまったく情報がなく,コース上のどこにいる可能性もまったく均等であるとしたら,アリスの前を最初に通過する可能性が最も高いのは,速度から考えて,三月ウサギで,最も低いのは帽子屋であるに違いない。読者には,最初に通過するのが三月ウサギである確率がどのくらいかを計算してほしい。また,最初に通過するのがヤマネ,あるいは帽子屋である確率はそれぞれどのくらいだろうか?

 この問題にいきなり挑戦するのは難しいとお考えの読者は,ウォーミングアップとして,三月ウサギとヤマネの2人だけの場合について,三月ウサギがヤマネより先にアリスの前を通過する確率を考えてみるとよいかもしれない。


答えは,2021年4月号に掲載

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