パズルの国のアリス

怠け者3人組のコーカスレース(解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 まずウォーミングアップ問題から考えよう。明らかに三月ウサギは40分以内にアリスの前を通過する。ではヤマネはどうだろうか。ヤマネが1周するのに要する時間は50分だから,アリスから見て周回コースの4/5より遠方の地点にまだいるならば,決して40分以内にアリスの前を通過することはない。逆に4/5より近くにいるなら,三月ウサギとヤマネのどちらが先にアリスの前を通過するかは,まったくの五分五分である。従って,ヤマネが三月ウサギより先に通過する確率は4/5×1/2=2/5である。反対に三月ウサギが先に通過する確率は1−2/5または1/5+4/5×1/2で計算でき,3/5である。

 一般にAとBの1周に要する時間がそれぞれababのとき,AがBより先にアリスの前を通過する確率はb/2aであり,反対にBが先に通過する確率は1−b/2aである。例えば三月ウサギと帽子屋を比べるなら,帽子屋が先に通過する確率は40/(2×60)=1/3で,三月ウサギが先に通過する確率は2/3である。

 しかし,三月ウサギがヤマネと帽子屋の両者より先にアリスの前を通過する確率は,両方の確率をかけて3/5×2/3=2/5でよいかというと,そうではない。この2つの事象が独立ではないからだ。

 ヤマネが周回コースの4/5よりアリスに近いところにいるという事象をD,帽子屋がコースの2/3よりアリスに近いところにいるという事象をHとしよう。この2つの事象なら,三月ウサギがどこにいるかとは無関係だから,独立といえよう。DとHが同時に起こっている場合(確率:4/5×2/3=8/15),3人全員がアリスのところまで40分以内の距離にいるから,誰が最初にアリスの前を通過するかの確率はそれぞれ1/3である。Hの余事象(帽子屋がコースの2/3よりも遠くにいる)とDが同時に起こっている場合(確率:4/5×1/3=4/15),アリスの前を最初に通過するのが帽子屋である可能性はなく,三月ウサギかヤマネだが,そのどちらになるかは五分五分だ。Dの余事象とHが同時に起こっている場合(確率:1/5×2/3=2/15),アリスの前を最初に通過するのは三月ウサギか帽子屋であり,そのどちらになるかは同様に五分五分だ。Dの余事象とHの余事象が同時に起こっている場合(確率:1/5×1/3=1/15),アリスの前を最初に通過するのは確実に三月ウサギである。

 結局,3人のうち三月ウサギが最初にアリスの前を通過する確率は,これらの条件下の確率の合計で,8/45+2/15+1/15+1/15=20/45=4/9である。また,ヤマネが最初になる確率は8/45+2/15=14/45であり,帽子屋が最初になる確率は8/45+1/15=11/45である。

 比較する走者がさらに多くなった場合や,各自の周回速度が違った値の場合も同様に考えて計算できるが,それは読者にお任せしよう。

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