パズルの国のアリス

またまた小切手帳勝負の双子(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 トウィードルダムとトウィードルディーの双子は,金満家の伯父からしばしばお小遣いをもらえるのだが,伯父の趣味もあり,いつも小切手帳を使った妙な知恵試しの勝負を強いられる。

 今回は,少額の小切手が何枚かつづられた小切手帳3冊と,それとは別に額面不明の小切手1枚を渡された。2人は交互に手を打つのだが,選べる選択肢は次の2通りだ。

(1)3冊の小切手帳をすべて自分のポケットに入れる。その代わり,額面不明の小切手は相手のものになる。

(2)3冊の中に2枚つづり以上の小切手帳がある場合,そのうちの1冊を2冊の小切手帳に分割し,残りの2冊のうちの1冊を自分のポケットに入れて相手に手番を回す。

 ジャンケンで先手になったダムはどうしようかと思案中だ。額面不明の小切手がいくらかによって戦略は変わる。額面が小さければ,さっさと(1)を選択するのが得策だ。しかし,伯父がこういう勝負を仕掛けてくる以上,不明小切手の額面は3冊を合計した額と同じかそれよりも多いと考えたほうがよいだろう。そうであれば,(1)を選ばねばならない状況に相手を追い込むのがよい。つまり,3冊をすべて1枚つづりにして相手に手番を回すことだ。そうすれば相手は(2)を選ぶことができない。だが,果たしてどうすればそのような状況が作れるだろうか?

 というわけで,読者にも双子と一緒に,先手のとるべき戦略を考えていただこう。まずはウォーミングアップとして,小切手帳が2冊だけの場合に先手のとるべき戦略を考えていただくのがヒントになるだろう。この場合も,基本的にはルールは同じである。つまり,打つ手の選択肢は,次の2つだ。

(1) 2冊の小切手帳をすべて自分のポケットに入れる。その代わり,額面不明の小切手は相手のものになる。

(2)2冊の中に2枚つづり以上の小切手帳がある場合,そのうちの1冊を2冊の小切手帳に分割し,残りの1冊を自分のポケットに入れて相手に手番を回す。


答えは,2019年10月号に掲載

再録『パズルの国のアリス4 数学でピザを切り分ける!』

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