パズルの国のアリス

続・ヤマネたちの安心領域(解答)

 曲線上を進んだり戻ったりあるいは止まったりということが自由なので,そこをうまく利用すれば,距離の非増加条件を満たしたままでも2人は十分に近づくことができそうな気もする。しかし,それは錯覚であり,ひどくくねくねした曲線であれば,非増加条件を満たしたままでは2人が好きなだけ近づくことなどできない。問題は,具体的にそのような曲線を見つけることと,その上をいくら行ったり来たりしても非増加条件を満たす限り,それ以上には近づけない限界の存在を示すことだ。

 実は,そういう曲線を具体的に見つけることは,かなりぐにゃぐにゃしたものであればさほど難しくもなさそうだ。だが,非増加条件を満たしたままではある距離以内に近づけないことを証明するのは,勝手に描いたぐにゃぐにゃした曲線では面倒そうだ。

 その目的には,上図のような円弧だけをつなげて作った曲線を考えると都合がよい。外側の点線は,ヤマネの姪たちのいる直径100mの円を示す。曲線の主な構成要素はPとQを中心とし,10mずつ隔たった三重の同心半円だ。

 最初,サンデイはAの位置にいて,マンデイはZの位置にいるとする。非増加条件を満たしたままでは2人が決して距離20m以内に近づけないことを証明しよう。

 2人が握手できる位置まで近づけるとしたら,2人とも曲線から離れることができないのだから,ある時点でサンデイがCの位置まで来るか,マンデイがXの位置まで来ていなければならない。議論は対称なので,サンデイが先にCまで来たとし,その時刻をtとしよう。マンデイはその間,XからZに至る曲線のどこかにいるわけだから,例えばYとBのように,2人の距離が20mになる瞬間がt以前にある。距離が非増加という条件を保つ限り,その時点よりあとでは,サンデイがCに至るまでマンデイは後戻りするほかなく,サンデイがCに着いたときにはZに戻っていなければならない。

 そしてサンデイがCより先に進もうとすれば,明らかに非増加条件が破綻する。サンデイが逆戻りしてマンデイがXより先に進もうとしても同じだから,20mは非増加条件を保ったまま近づける限界ということになる。

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