トランプ王室晩餐会の席順(問題)
昨年の6月号と7月号で述べたトランプ王国の晩餐会がまた開かれたので,再びお付き合い願いたい。
晩餐会の会場は,このところいつも三月ウサギの家の前の木陰で,いつ果てるとも知れぬお茶会を催している3人組から会場を奪って行うというのが恒例になってきている。2つの席の間にナプキンが置かれていて,普段だと自分の両側の先客にナプキンをそれぞれ奪われ,ナプキンにあぶれるものが必ず出る。2009年12月号では,会場を奪われた腹いせに帽子屋が着席順を画策して,犠牲者が増えるようにしたという話を紹介した。
今回は特別ゲストとしてアリスも招かれ,アリスがお礼にと「全員自分の右側のナプキンを取るようにすると良い」と進言したところ,王侯たちをはじめ皆,「なんとすばらしいアイデアだ」と感心されることしきりである。おかげで三月ウサギや帽子屋に意地悪をされる心配も消え,和やかに進むかと思えたのだが,そうは順調にいかないのがこの晩餐会だ。会は何晩か連続で開くことが多いのだが,2晩目に問題が発生した。トラブルメーカーとなったのは,読者も予想の通り,ハートの女王である。
ハートの女王の言い分によれば,「昨晩は自分から7席右にダイヤの6が座っていたのだが,今晩もまた同じだ。せっかくこうして懇親のために会を設けているのだから,それはけしからん。どの2人の位置関係も前の晩とは違っていなければならん」というわけだ。言い出すとあとへは引かないハートの女王のこと,早速,前の晩の席順を調べ,今晩はどういう順に座るのがよいかをアリスとスペードのエースが中心になって計画した。
読者の皆さんには,アリスとスペードのエースを助けて,2晩目の席次表を作っていただきたい。考えやすいように,最初の晩は,アリスから右にスペードのエース,2から10,ジャック,女王,王の順に,あとは同じ順にハート,ダイヤ,クラブと並んでアリスに戻ってくるような席順だったとしよう。念のために申し添えておくが,ハートの女王の考えによると,2人を隔てる席数が同じであっても左右が異なっていれば,位置関係は異なるということだ。
2晩目の席順がうまく決められたら,3晩目はどうだろうか? もちろん,どの2人も1晩目,2晩目のどちらとも異なる位置関係に座らねばならない。
この晩餐会の成功に気をよくしたハートの女王,今度はトランプ王宮内の一室でハートだけの連続晩餐会を計画した。出席者はハートの王侯と兵士たちにアリスを加えた14人。同様な円卓を囲む席次表を2〜3晩分作るようにアリスに依頼したが,さてこの計画どうなるだろうか?
答えは,2016年9月号に掲載
