パズルの国のアリス

タイル壁の修復(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 鏡の国の大工のところにまた厄介な左官仕事が舞い込んだ。タイル壁の修復だが,今度はタイルの形がちょっと変わっている。同じ面積の直角二等辺三角形2枚を合わせた3種類の形のタイル(青,赤,グレー)を使って壁を貼るのだ(図1)。

 地震で壊れ落ちて修復が必要になっている部分は,点対称の形をしていて,大きさは図2のようである。

 しかし,少し問題がある。壊れる前の壁には,青,赤,グレーのタイルを組み合わせて使うことで簡単な模様が描かれていたらしい。修理依頼者はその模様に思い入れがあるらしく,それをそっくりもとに戻すことが条件だ。ところが,もとの模様がどうだったかを完全に調べるのにはかなり時間がかかりそうなのだ。

 タイルはかなり特殊な形なので,製造元では,そろそろ製造中止にしたいと言っている。発注するならなるべく早くしてほしいとのことだ。だが,模様がわからないと3種類のタイルがそれぞれ何枚必要かもわからない。

 グリフォンがたまたま鏡の国に来ていて,大工からその話を聞きつけた。「それは,頭の痛いことだね。タイルの模様については,他には何もわかっていないのかな?」

 「うーむ。青,赤,グレーのどのタイルも図に描いた方向にのみ置いて使われていて,回転したり裏返したりして使われてはいなかったということは確かだけど,こんなことがわかってもな……」と大工。

 それを聞いてしばらく考えていたグリフォン,ポンと手を打ち「あ,それなら,わかったぞ」と注文すべきタイルの各枚数を大工に教えた。グリフォンにはなぜそれが計算できたのだろうか? また,大工は3種類のタイルをそれぞれ何枚注文すればよいだろうか?


答えは,2013年9月号に掲載

再録『パズルの国のアリス2 数学パズルの迷宮』

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