パズルの国のアリス

無限モグラ国の8の字ミミズ(解答)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

 

解答例どんな形のミミズでも,平面に無限匹描くことはできる。例えば,碁盤目に仕切られた各区画に1匹ずつ配置すればいい。この場合,モグラたちが余さずにミミズを1匹ずつ分け合えることは明らかだ。

しかし,ミミズの形が円だったらどうだろう。(白黒ミミズの場合と同様な議論を用いて)カントールが証明したように正の実数の全体は非可算である。平面上に1点を中心とする同心円をあらゆる正の実数を半径として描くと,2つの円は互いに重ならない。だから,パズルが8の字ミミズではなく円形ミミズについて問うものだったとしたら,このような同心円すべてに沿ってミミズが存在する場合,モグラがどう分け合っても余りが出てしまう。

だが,8の字ミミズの場合は,平面上には可算個しか重ならないで住むことはできない。各8の字ミミズが作る輪のそれぞれに対して,その内部の有理点(座標が両方とも有理数である点)を1つ対応させる(有理点は稠密に存在するのでこうした点は必ずある)。

各8の字ミミズには,2つの輪があるから,2つの有理点が対応することになるが,異なる8の字ミミズの体は重ならないので,有理点が両方とも一致することはない。

カントール以来よく知られているように,可算個のものをペアにしても,ペアの総数は可算個にしかならない。従って,有理数は整数のペアと考えていいので 可算個しかなく,それらのペアである有理点も可算個しかない。さらに有理点のペアも可算個しかないので,平面上に重ならないですまわせられる8の字ミミズも可算匹だから,余りがないようにモグラたちで分け合うことができる。

 

参考にした本:Peter Winkler による次の2冊(ともに出版元はA K Peters, Ltd. )Mathematical Puzzles: A Connoisseur’s Collection (2004)Mathematical Mind-Benders (2007)ルイス・キャロルによる『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』(さまざまな出版社から,さまざまな訳者による翻訳本や注釈本が出ている)

 

 

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