ウイスキーのモルト比率(解答)

実は有理数比の酒ならばすべて作ることができる。体系的な作り方を1つ紹介しよう。作りたい比率をp/qとする(p/qはこれ以上,約分できない分数)。 p/q>1/2のときは,モルトとグレーンの役割を交換して考えればよいから,2p<qと仮定してよい。正の整数nを適当にとって,N=2npという形の数を考える。このNはq(q-1)/2以上ならば何でもいい。こうするとNは,
N=m1+m2+…+mq
(0≦m1<m2<…<mq)
のq個との異なる0以上の整数の和に分割できる。このとき比率p/qの酒は,比率m1/2n,m2/2n,…,mq/2nの酒を等量ブレンドすれば作れる。
p=3,q=7の場合,つまり3/7を例に説明しよう。7×6×1/2=21<24=23×3 だから,N=24とすると,Nは7つの異なる0以上の整数の和に分割できる。たとえば,N=24=0+1+2+3+5+6+7である。このとき,(0+1 +2+3+5+6+7)×1/8=3だから,0/8~3/8と5/8~7/8までの7つの数の平均は3/7だ。したがって比率3/7の酒は,0/8(グレーン100%),1/8,2/8,3/8,5/8,6/8,7/8の酒を等量ブレンドすればよい。
2p<qを仮定したのは,最大の比mq/2n(上の場合,7/8)が1を超えないことを保証するためだ。
N=q(q-1)/2のとき,上のNの分割は0+1+2+…+(q-1)となり,その最大はq-1だ。N>q(q-1)/2なら、余剰分を各数になるべく均等に配分すれば,最大数は
mq=N/q-(q-1)/2
+(q-1)=
N/q+(q-1)/2
(この式では切り上げの記号)となる。ゆえにmq/2n≦1を言うには,N/q+(q-1)/2≦2nを示せばいい。Nの決め方より(q-1)/2≦N/qだから,N/q+(q-1)/2≦2N/q=2n×2p/q≦2nである。