日経サイエンス  1999年8月号

広がるインターネット新言語XML

J.ボザック(サン・マイクロシステムズ社) T.ブレイ(テクスチュアリティ社)

 HTMLという言語はインターネット通信を急激に発展させた。HTMLに代わる新言語XMLは,次世代ネットワークを大きく変える起爆剤になると期待されている。
 W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)が1998年初めにXMLを完成させて以来,XMLは野火のように科学界全般に広がり,製造業から医療まで産業界全般にも幅広く浸透していった。
 HTMLからXMLに代わると,大きく2つの点が改善されると期待されている。インターネットで頻繁に起こる渋滞の解消が1つ。もう1つは,本当に欲しい情報だけを素早く探しだせるだろうという点だ。
 HTMLはどんなコンピューターのユーザーでもインターネット上の文書を読める方法を編み出した。XMLもいわばコンピューターにおけるエスペラント語を作成できる枠組みでHTMLと同様に互換性のないコンピューターシステム同士でも共通に読み取りや書き込みができる環境を提供する。従来,人間はコンピューターのデータ形式を読めないのが普通だったが,XMLのマークは普通のテキストだけで構成されるため,人間にも意味が理解できる。
 そこでXMLを採用すれば,医師が患者のカルテなど診療記録を,病院のデータベース管理者に電子メールで送り,そのまま保存することも可能になる。

著者

Jon Bosak / Tim Bray

2人はXMLの開発で大変重要な役割を果たした。ボザックはカリフォルニア州マウンテンビューのサン・マイクロシステムズ社のオンライン情報技術設計者で,W3C内でXMLを開発した作業グループを組織し,リーダー役を務めた。現在,ボザックはW3CのXMLコーディネーショングループ座長で,さらにW3Cを代表してOASIS(情報構造の標準化を進める組織)にも参加している。ブレイはXML1.0の規格や関連資料「Namespaces In XML(未訳)」の共同編集者で,W3CのXML構文作業グループの共同議長を務めている。また,1986年にはウォータールー大学で新オックスフォード英語辞典プロジェクトの管理者を務めた。1989年にオープン・テキスト社を共同創設。1996年にはブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにプログラミング会社テクスチュアリティ社を創設している。

原題名

XML and the Second-Generation Web(SCIENTIFIC AMERICAN May 1999)