日経サイエンス  1999年8月号

伝説のアンダマン先住民

S. ベンカテスバル(ニュージーランド・マッセイ大学)

 ミャンマーに近いアンダマン海に点在するアンダマン諸島。ここに古くから住むアンダマン先住民は,欧米の人たちの想像力を刺激してきた。かつてマルコ・ポーロが,この島に住む人々は,人間の身体に犬の頭をしている,と書いたのは有名だ。伝統的な生活を守り続けてきたアンダマンの人たちだが,19世紀にイギリスの支配が始まってからは,土地を追われ,独特の文化も守りきれなくなってしまった。

著者

Sita Venkateswar

ニュージーランドのマッセイ大学の社会人類学講師。ラトガース大学で博士号を取得したのち,アンダマン諸島の調査に参加した。1991年から1993年の調査は全米科学財団から補助金を交付されて可能となった。現在インドの映画と文化についての講座を持ち,長年にわたって興味を持ち続けた視覚人類学を研究している。また児童労働について,視覚資料を調査するためネパールで研究し始めている。

原題名

The Andaman Islanders(SCIENTIFIC AMERICAN May 1999)