日経サイエンス  1999年8月号

19世紀のプログラマー バイロンの娘エイダ

E. E. キム(ドクター・ドブズ・ジャーナル) B. A. トゥール(ドミニカン大学)

 英国ロマン派の詩人として有名なバイロン卿の娘で,後にラブレス伯爵夫人となったオーガスタ・エイダは,1843年にコンピューターの先駆者チャールズ・バベジと共同研究,発表したコンピュータープログラムをどう作るかをまとめた論文でも名を残している。
 エイダは1815年12月10日に,バイロン卿と11カ月間だけその妻だった数学者アンナベラ・ミルバンクの娘として誕生した。子どものころから有名な数学者ド・モルガンなどを家庭教師として数学の英才教育を受けたエイダは,17歳の時にバベジと出会う。
 初期の計算機を研究していたバベジと親しくなるにつれ,エイダはその研究に興味をもつようになる。ジャカード織り機をヒントにした計算機について2人はやがて共同研究するようになった。こうしてエイダがコンピュータのプログラミングについて詳細に論じた最初の論文を発表することにつながった。20世紀になるまでそのような論文は他には出なかった。人工知能の創始者として有名なアラン・チューリングは後にエイダの考え方を講演の中で紹介し,エイダの存在を一躍有名にした。エイダは惜しくも36歳の若さで世を去っている。

 

 

著者

Eugene Eric Kim / Betty Alexandra Toole

キムは大学で,トゥールは大学院で論文に取り組んでいる間に,エイダ・ラブレスに関心を持つようになった。キムは,カリフォルニア州サン・マテオでDr. Dobb's Journalの技術編集をしている。彼はCGI Developer'sGuideやフリーソフトウエアの歴史に関する本の著者でもある。ハーバード大学から歴史と科学の学士の学位を得た。トゥールはカリフォルニア大学バークレー校で学士と教育学博士の学位を得た。彼女は,そこで科学の歴史と科学技術教育への応用を専攻した。彼女はAida,theEnchantress of the Numbers: A Selection fromthe Letters of Lord Byron's Daughter and herDescription of the First Computerとペーパーバックス版の要約Aida,theEnchantress of the Numbers: Prophet of theComputer Ageを書いた。トゥールは,カリフォルニア州サン・ラファエルのドミニカン大学でコンピューター科学の顧問と助教授をしている。

再録:別冊日経サイエンス228「性とジェンダー」
再録:別冊日経サイエンス172「数学は楽しい Part2」


原題名

Ada snd the First Computer(SCIENTIFIC AMERICAN May 1999)

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