日経サイエンス  1999年6月号

サイエンス・イン・ピクチャー

胎児の体内を透視する

B. R. スミス(デューク大学)

 ごく初期の人間の胎児の発達段階を詳しく調べることは,正常もしくは異常な発達がどのような過程でおきるかなどを知るために重要だ。これまでは,妊娠後8週間目以前の初期の胎児を調べるのは難しく,人間以外の動物で,正常な胚と,発生学的に変異している胚の断面を研究する方法しかなかった。最近は核磁気共鳴顕微鏡という技術で,標本を損なわずに身体の中の構造を詳しく調べられるようになった。

著者

Bradley R. Smith

デューク大学メディカルセンター放射線学科の助教授。MRMで心血管系発生に関する研究を行っている。この論文で紹介したヒト発生学のデジタル画像を開発しているほか,マウスの胚に関する画像の編集も行っている。また医学用の画像を扱うバイオイメージ社の社長でもある。

原題名

Visualizing Human Embryos(SCIENTIFIC AMERICAN March 1999)

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