日経サイエンス  1999年6月号

水爆の父サハロフ,平和主義への“転向”

G. ゴレリク(ボストン大学)

 ノーベル平和賞受賞者として知られるサハロフは,旧ソ連政府のもとで1950年代には水爆開発に関わっていた。史上最年少でソビエト科学アカデミーの会員に選出され,当時の政府幹部の覚えもめでたかった。エリート科学者だったサハロフが,なぜ政府の方策に反対するようになったのだろうか。危険もかえりみず,自分の信念にしたがって行動した1人の科学者の軌跡を追う。

著者

Gennady Gorelik

ボストン大学の科学哲学・科学史センター研究員。グッゲンハイム財団とマッカーサー財団から助成金を得てサハロフの伝記を書き終えたところで,この本はW.H.フリーマン社から出版される予定。彼は1979年にモスクワ科学アカデミーの科学技術史研究所からPh.D.を授与された。物理学者ランダウ(LevLandau) についての論文も書いている(「天才物理学者ランダウの真実」日経サイエンス1997年11月号)。

原題名

The Metamorphosis of Andrei Sakharov(SCIENTIFIC AMERICAN March 1999)