日経サイエンス  1998年11月号

DNAコンピューターで問題を解く

L. M. エイドルマン(南カリフォルニア大学)

 DNAの4種類の塩基を演算素子にして超並列コンピューターを作る──。きわめて魅力的な構想だが,本当に試験管の中で計算ができるのだろうか。著者は独自のアイデアでDNAコンピューターを実現し,試験管や電気泳動装置,酵素といったごくありふれたバイオテクノロジーの道具を使って,従来のコンピューターが苦手としているハミルトン経路問題を解くことに成功した。わずか1gでCD3兆枚分もの情報を記憶できるDNA分子を,少量の溶液中で一度に大量に扱って膨大な計算を瞬時にこなすDNAコンピューターは,半導体を使った従来のスーパーコンピューターをはるかに上回る超高速計算機になる可能性を秘めている。(編集部)

著者

Leonard M. Adleman

カリフォルニア大学バークレー校より1976年にコンピューター科学でPh.D.を取得。1977年からマサチューセッツ工科大学数学科に籍を置き,アルゴリズム数論を専門にしていた。また,RSA後悔鍵暗号システムの開発者の1人としても知られる。その後,南カリフォルニア大学コンピューター科学科に移り,コンピューターウイルスにかかわるようになった。米国工学アカデミー会員。

原題名

Computing with DNA(SCIENTIFIC AMERICAN August 1998)