日経サイエンス  1998年8月号

ディープ・インパクトを防げ

中島林彦(編集部)

 2028年,地球に直径約2kmもの巨大隕石が落下する可能性がある――。スピルバーグ総指揮の最新SF映画「ディープ・インパクト」を地で行く大ニュースが,この3月,全世界を駆け巡った。小惑星や彗星の地球衝突はいつ起きても不思議ではない。こうした天体を早期に察知しようと,日本でも専用の観測施設の建設が始まる。

 

 地球に接近する危険な小惑星や彗星を総称して「地球近傍小天体」,略して「NEO(Near Earth Object)」という。現在,こうしたNEOを早めに発見して警報を発する「スペースガード計画」が日米欧の協力で進んでいる。これまでは米国が活動の中心だったが,日本と欧州も口径1mの大型の「スペースガード望遠鏡」の実現に向け動き始めた。近い将来,世界的なNEO観測ネットワークが立ち上がることになる。

 

 日本のNEO観測施設は科学技術庁が総額約7億円を投じて今年から4年計画で整備する。2年後にも完成する。宇宙ステーションや人工衛星に害を及ぼすおそれがある宇宙を漂うゴミ「スペースデブリ」も観測するが,かなりの時間はNEOの探査にあてられそうだ。スペースガード望遠鏡の特徴は一度に広範囲の夜空を観測できること(視野角は約3°)。普通の望遠鏡は夜空の1点を拡大して遠い宇宙の星や銀河を観測するが,スペースガード望遠鏡は,どこにいるのかわからない地球にしのびよる小惑星や彗星を探し出すのが任務だからだ。