日経サイエンス  1998年7月号

算額に見る江戸時代の幾何学

算額の問題3の答え

 この問題を和算家がどのように解いたかはまだ知られていない。しかし,解析幾何を使えば,和算家が得たのと同じ答えが得られる。
楕円の方程式をx2/a2 + y2/b2 =1 とし,点Pの座標を (a cos θ, b sinθ) とする。ここで,2a,2b が楕円の長軸と短軸。このとき,法線の方程式を用いて,成分PQの長さを求められる。長さを最小にするために,微分した式を0(ゼロ)と置くことにより,和算家の述べた結論に達することができる。

PQ = 2ab(a2sin2θ + b2cos2θ)3/2 /(a4sin2θ + b4cos2θ)

ここで,dPQ/dθ= 0 から,

 sin θcos θ(a4sin2θ-2a2b2 + b4cos2θ)= 0

あるいは

 sin2θ= b2(2a2 -b2) / (a4 – b4)

これは√2・b<a のときに,次のような解になる。

 

 

 

 


Images: Brian Christie

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