
ごく最近まで,鳥の起源は生物学の大きな謎の1つだった。鳥類は,現在存在する他のすべての動物と劇的に異なる。羽毛,歯のないクチバシ,中空の骨,枝にとまれる足,叉骨(ゆ合した鎖骨),縦長の胸骨,そして切り株のような尾骨。これらは,鳥類だけに見られる骨格上の特徴のほんの一部だ。鳥類がどうやって羽毛や飛翔能力を進化させたかは,さらに謎だった。
この20年の間に,新しい化石の発見や新しい研究方法によって古生物学者は,鳥類が「獣脚類」と呼ばれる地上性の肉食恐竜から進化したと結論できるようになった。また,最初の鳥がどうやって飛んだかについても,そのイメージが描けるようになった。(本文より)
著者
Kevin Padian / Luis M. Chiappe
2人はしばしば共同研究をする間柄である。パディアンはカリフォルニア大学バークレイ校総合生物学科の教授であり,古生物学博物館のキュレーターである。また,国立科学教育センターの長でもある。キアッペはこれまで白亜紀の鳥類の系統進化を広範に研究し,現在はニューヨークにあるアメリカ自然史博物館のチャップマン特別研究員兼館友研究員で,ニューヨーク市立大学の助教授も兼ねている。
原題名
The Origin of Birds and Their Flight(SCIENTIFIC AMERICAN February 1998)