日経サイエンス  1997年4月号

トレンド

反科学ブームの真相

ScientificAmerican編集部 池辺豊(編集部)

 最近まで科学界の勢力は絶大で,科学批判を無視するゆとりがあった。しかし,科学予算の削減につれて,科学者たちは反科学を猛烈に攻撃しはじめた。Scientific American 編集部は,反科学という点で共通の非難を浴びている3つのトピックスを選んだ。

 

 最初にゲーリー・スティックスが創造論研究所を訪れる。ここは国内でも反ダーウィニズムを標榜する最も古い研究所であり,非創造論者による自然観を特異な科学理論で打ち負かそうとしているところである。次にサーシャ・ネメセックが科学の研究を,フェミニストがどう批判しているかをリポートする。最後にフィリップ・ヤムがX‐ファイルなどのテレビ番組の隆盛について取り上げる。こうした番組は疑似科学とオカルトを信じさせるのに一役買っている。またこうした傾向を助長する商業主義についてもリポートする。

 

 読者にはこうした活動が,科学に対してどのような挑戦をしようとしているのか,また反科学というレッテルがこれらを理解するのにどの程度役立つのかを,自ら考えてもらいたい。

 

 一方,日本には,米国のような反科学的な論陣を張る勢力はないに等しい。しかし,人々の心のうちに漠然とした非科学的ムードは実在し,それは安全や健康に関するリスクを考えるときに頭をもたげる。とくに,科学的な判断材料が乏しい場合が多いので,情緒的なものが人々の意識や行動を左右する大きな要因となっている。

原題名

Science versus Antiscience?(SCIENTIFIC AMERICAN January 1997)