日経サイエンス  1996年8月号

サイエンス・イン・ピクチャー

恐竜をよみがえらせた画家ナイト

G. S. ポール

 博物館に行くと,恐竜をはじめ古代の絶滅した生物をいきいきと再現した絵が描かれている。こうした絵を最初に書き始めたのがナイトで,19世紀末から今世紀の前半にかけて活躍した画家である。解剖学の知識に裏付けられたナイトの絵は,当時の恐竜ブームを支えた。

 

 しかしナイトは当時の学説に従っていたので,恐竜をのろまで活発な動きの少ない動物として描いた。そしてその恐竜観は,ナイトの絵とともに普及してしまった。また,ナイトは恐竜を地味な色を使って描き,ナイト以降の恐竜画家も最近になるまでその習慣を続けていた(恐竜は,現在の爬虫類や鳥類と同じく色彩のわかる視覚をもっていたと考えられることなどからして,恐竜の身体の色はもっと派手だったと思われる)。

 

 とはいえ,ナイトの絵は今なお多くの恐竜画家が目標点としてる芸術作品であり,ニューヨークのアメリカ自然史博物館の新しく完成した恐竜ドームをはじめ,多くの博物館で今も見ることができる。

著者

Gregory S. Paul

フリーの恐竜研究者でイラストレーターとしても活躍している。NatureやSmithsonian,Science Newsなどに絵を描くかたわら,多くの専門誌に論文を書いている。ジョン・ホプキンス大学に学び,メリランド州バルティモアに住んでいる。翻訳されている著作には『肉食恐竜事典』(小畠郁生監訳,河出書房新社)がある。

原題名

The Art of Charles R. Knight(SCIENTIFIC AMERICAN June 1996)

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