日経サイエンス  1996年4月号

巨大な銀河爆発

S. ベイルー(メリーランド大学) G.セシル(ノースカロライナ大学) J.ブランド=ホーソーン(アングロオーストラリア天文台)

 活動的な銀河の中心部からは,信じられないくらいの膨大なエネルギーが放出されている。それはまさしく「超大爆発」と呼ぶべきものだ。この銀河爆発の駆動力としては「巨大なブラックホール」が考えられている。大きさは太陽程度なのに,質量は太陽の100万倍もある天体である。ガスが降着円盤から巨大ブラックホールに落ち込む際に紫外線やX線が放出され,それが周辺のガスに吸収されて,可視光を含む大規模な再放射が生まれるわけである。

 

 しかし,この超大規模爆発の“エンジン”は,何も巨大ブラックホールだけではない。もう1つの候補が,スターバーストである。短期間に無数の星が爆発的に形成され,強い星風を吹き出す。同時に,超新星爆発からの高速ガスと相まって,数百万度まで加熱されるわけだ。さらに,表面温度が10万度を超える極端に熱い星があるのかもしれない。

 

 巨大ブラックホールによるのか,それともスターバーストによるのかは,いくつかの特徴から区分することができる。たとえば,銀河回転軸の方向に細長いジェットが見られれば,その銀河は巨大ブラックホールで駆動されている。一方,円盤と垂直方向に,ちょうど砂時計のような広角領域にガスが広がっていれば,その銀河はスターバーストで駆動されていることになる。

 

 このように,巨大銀河爆発の基本原理については少しずつわかってきたが,細かい点については,なお多くの謎が残されている。

著者

Sylvain Veilleux / Gerald Cecil / Jonathan Bland-Hawthorn

3人は,ハワイの天文台で研究している間に出会い,特異銀河への興味が共通していることから共同研究をするようになった。ベイルーは現在メリーランド大学の助教授で,カリフォルニア大学サンタクーズ校でPh.D.を得た。セシルは,ノースカロライナ大学チャペルヒル校の天文学物理学教室の準教授で,付属のモアヘッド天文台長を兼任している。ハワイ大学で学位を得た。プランド=ホーソーンは,サセックス大学と王立グリニッジ天文台で天文学・天体物理学のPh.D.を得た。現在,シドニーにあるアングロオーストラリア天文台の研究員である。

原題名

Colossal Galactic Explosions(SCIENTIFIC AMERICAN February 1996)