日経サイエンス 2010年8月号

旅するウナギの謎

2010年6月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

透明で蛍光を発している表紙の見慣れない生き物は何だと思いますか? 日本人の大好きなウナギの赤ちゃんです。ウナギはサケとは逆に,太平洋の深海で産まれ,川で育ちます。最後まで謎だった産卵場所がわかり,6000~7000kmを回遊するウナギの生活史がついに解明されました! 脳の視覚野にダメージを負うと,目などの入力系が正常でも「目が見えない」状態になってしまいます。ところが,こうしたタイプの盲人の中には,本人は「何も見えていない」のに,まるで見えているかのように障害物をよけながら歩くことができる人たちがいます。この謎の視覚に迫ります! ほかには“幽霊粒子”と呼ばれるニュートリノを使って星のコアの部分までを見るニュートリノ望遠鏡や,内耳の損傷から平衡感覚を失った患者に埋め込む人工内耳の開発など,今月も盛りだくさんです。

海洋生物学

旅するウナギの謎  中島林彦/協力:塚本勝巳・田中秀樹

 

天文学

動き出すニュートリノ望遠鏡  G. B. ジェルミニ/A. クセンコ/T. J. ワイラー

 

天文学

ハイパーカミオカンデ構想  中島林彦/協力:東京大学宇宙線研究所

 

神経科学

盲人の不思議な視覚  B. デ・ゲルダー

 

気候変動

温暖化で変わる北極圏の風景  M. スターム

 

医学

平衡感覚を取り戻す人工内耳  C. C. デラ・サンティーナ

 

交通工学

米国の高速鉄道計画  S. F. ブラウン

 

技術革新

病理診断デジタル時代  M. メイ

 

茂木健一郎 科学のクオリア

形の容貌を解剖する  ゲスト:小島定吉(東京工業大学教授)

 

 

ダイジェスト

サイエンス考古学

 垂直発進/農民の市場/軽すぎる硬貨/森林と洪水/ダーウィン説の波紋/ダーウィン説への反発

フロントランナー

 人間の行動原理を実験で突き止める/山岸俊男・北海道大学大学院教授

NEWS SCAN

●国内フラッシュ

「はやぶさ」帰還コシヒカリの来し方行く末神経新生を支える遺伝子/超新星ニュートリノが作った物質/ReRAMデビューへ一歩/分子を運ぶ“線路”/皮膚細胞から肝臓幹細胞/白色光フレアに迫る/万能細胞の研究指針緩和/化学五輪7月に東京で

●国内ウォッチ

 「あかつき」金星へ出発/Y染色体がなくても大丈夫?/光で金属と半導体を行き来する

●海外ウォッチ

私たちのDNAにネアンデルタール人の痕跡ツイスター+ひも=時空の謎解き/沖合の風車をつないで/接合なしの新トランジスタ/抗ウイルス特効薬の可能性/“音の弾丸”を作り出すレンズ/心臓に悪い炭水化物/肉眼で見える物体が重ね合わせに/拡大するメキシコ湾原油流出/“数楽”のほかにも大きな足跡

砂漠の駝鳥 当世かがく考

 ついていくだけの宇宙利用を見直せ  滝 順一

ANTI GRAVITY

 私家版良識調査の試み  S. マースキー

ブックレビュー

 『共感の時代へ』山極寿一

 『大学生物学の教科書 1,2』長野 敬,

 <連載> 森山和道の読書日記 ほか

パズルの国のアリス

 チームで参加! 何でもオリンピック  坂井 公

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次号予告

今月の科学英語