日経サイエンス 2008年6月号

宇宙の歴史が消える日

2008年4月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

どんどん膨張を続ける宇宙。このまま長い時間がたつと,遠くの星からの光は届かなくなり,どれほど高性能の望遠鏡をもってしても,私たちの天の川銀河を含む超銀河以外には何も見えなくなります。今なら観測できるビッグバンの名残も届かなくなり……。遠い将来の宇宙論者は宇宙の誕生も進化してきた歴史も見ることはできなくなってしまうというのです。 米国では大統領選の予備選挙がいよいよ終盤を迎えました。面白いことに有権者からきちんとサンプリングした世論調査よりも,「誰が勝つと思うか」を予測する先物取引のような市場予測のほうが,的中率が高いことが過去の前回の大統領選のときに明らかになりました。参加者は偏っているのにいったいなぜでしょう? もう2つ,ちょっと意外な話を。これまで脳ではただの“コードの集まり”と思われていた白質が,実は学習と深くかかわっていたというお話。そして,夢の計算機とされる量子コンピューターの実像。現在のコンピューターでは天文学的な時間がかかってしまう暗号の解読などはお手の物ですが,チェスや碁などは苦手なのだそうです。 ほかには,日本人ならば無関心ではいられないクロマグロの話題と,スーパーカミオカンデの崖っぷちからの再生物語などなど。

宇宙論

宇宙の歴史が消える日  L. クラウス/R. シェラー

 

実験経済学

世論調査よりも当たる? 大統領選を占う予測市場  G. スティックス

 

脳科学

脳の隠れた主役 学習と白質の意外な関係  R. D. フィールズ

 

環境

クロマグロ危機  R. エリス

 

軍事技術

愚かな宇宙軍拡競争  T. ヒッチェンス

 

情報科学

量子コンピューターも苦手な問題  S. アーロンソン

 

メンタルヘルス

自閉症の急増は本当か?  S. O. リリエンフェルド/H. アルコビッツ

 

公衆衛生

フッ素のとり過ぎにご注意  D. フェイギン

 

短期集中連載:カミオカンデとスーパーカミオカンデ 物理学を変えた四半世紀 3

崖っぷちからの再生  中島林彦/協力:戸塚洋二

 

茂木健一郎と愉しむ科学のクオリア

漫画と文化人類学で人間の心に迫る  ゲスト:都留泰作(富山大学)

 

ダイジェスト

 

サイエンス考古学

 資源としての牛/米国は消極的な国/ハンセン病患者の治療/ライト兄弟の報告/アニリン染料

NEWS SCAN

デジタル世界も省エネに昔の火星は酸性雨?/サーファー野郎の究極理論/セルロースを狙え/西ヨーロッパ最古の人類/水星,見晴らし良好/歩いて自動発電/仲良し二重らせん/iPS細胞,配布開始!/科学界にも大きな影響 アーサー・C・クラーク(1917~2008) ほか

UPDATES

 ウイルス変異と受容体/血管を育てる/養育環境が育てるIQ/ホイルが明示しなかった方程式

個性派 ミュージアム巡礼

 医の博物館  文・写真:キュラトゥス

いまどき科学世評

 メタボ健診の後進性と非科学性  塩谷喜雄

ウソかマコトか?

 「春のトキメキ」ってあるの?

現代からくり拝見

 家庭用照明

TREND

 世界最大の電波天文台ALMAの建設本番

ANTI GRAVITY

 バナナがなくなる日  S. マースキー

BOOK REVIEW

 『幸運な宇宙』

 『服従実験とは何だったのか』

 <連載> 森山和道の読書日記 ほか

Information

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次号予告