日経サイエンス 2006年6月号

プラズマの波に乗れ 卓上加速器

2006年4月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

素粒子の実験に必要な加速器といえば“ビッグサイエンス”の代表格。総延長が数十kmもあるような加速器も計画されています。しかし,テーブル大の加速器が可能になりそう。カギとなるのは「プラズマの波」です。   小惑星イトカワに着陸,サンプルを採取した日本の探査機「はやぶさ」の活躍は記憶に新しいところ。実はこの探査機,次世代技術を多用していて,欧米の専門家からは「無理だ」と心配されていました。プロジェクトリーダーの川口先生が「はやぶさ」を熱く語ります。   いかにも日経サイエンスらしい論文としてお薦めしたいのは「オメガ数」。完全に定義でき,確定値をもつのに,決して計算できない数のことです。ゲーデルの「不完全性定理」は数学が完璧でないことを証明しましたが,その不完全さは,これまで考えられてきた以上のもののようです。   二酸化炭素といえば,温暖化に目が向きがちですが,海洋にも深刻な影響が及びます。酸性化して,サンゴなどが生息しにくい海になってしまうと予想されています。   ほかにはグリーンケミストリー,遺伝子特許の問題などなど。

物理学

プラズマの波に乗れ 卓上加速器  C. ジョシ

 

宇宙探査

「はやぶさ」の挑戦 小惑星探査時代の幕開け  川口淳一郎

 

海洋生態学

海洋酸性化の脅威  S. C. ドニー

 

宇宙航空学

星間旅行者を宇宙線から守る  E. N. パーカー

 

化学

汚染物質を分解するグリーン触媒  T. J. コリンズ/C. ウォルター

 

数学

ゲーデルを超えて オメガ数が示す数学の限界  G. チャイティン

 

生命科学と法制度

ゲノムは誰のもの? 進む生命の特許化  G. スティックス

 

情報技術

電波渋滞を避ける賢い無線  S. アシュレー

 

技術革新

チップに載る「ナノ電池」  C. Q. チョエ

 

 

 

てれすこーぷ

 科学とは何か  日高敏隆

サイエンス考古学

 反陽子/政治的に正しいトウモロコシ/安全食品計画/エンジン№7/最初の水中写真/テキサスのラクダ

NEWS SCAN

 臓器の左右の配置と形を決める遺伝子原始銀河の進化を再現/理想的なワクチンを求めて/丈夫なイネになる秘訣

 最初の出アフリカはもっと早かった?/素粒子物理学実験,次の一手は/結晶でナノチューブを配列/噴き上がる氷

 シロアリをだます菌類/大量の新種を発見/いじめで遺伝子が変化/ナノ粒子をばっちり検出/連星はそう多くない/

 サンゴ礁の守り神 ほか

茂木健一郎と愉しむ科学のクオリア

 プリオン説のミステリーに挑む  ゲスト:福岡伸一(青山学院大学教授)

モノが語るヒトの営み

 金属製品から見る(3) 鉄炮 20年で普及した鉄製品/齋藤努

いまどき科学世評

 脳年齢ブームの読み方  塩谷喜雄

個性派 ミュージアム巡礼

 スラブ国際トイレ博物館  文・写真:キュラトゥス

旅して発見!

 宮古島に期待されるエコツーリズム  文:中村いづみ 写真:芦川剛志

現代からくり拝見

 超小型モーター

TREND

 レーザー光の世界広げる結晶を作る  “黒い太陽”と浮かび上がるコロナ/プチ自慢

BOOK REVIEW

 『人類が知っていることすべての短い歴史』

 『小さな小さなクローディン発見物語』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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