日経サイエンス 2005年8月号

やっぱり違う 男と女の脳

2005年6月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

男性と女性の脳は似ているようで,やっぱり違う! 一部はサルやネズミでの性差にも見られるそうで,教育や社会のせいではないはず。
次の「ブラックホールを製造する」は一見トンデモ系のようですが,超ひも理論が正しいとすると,既存の粒子加速器でブラックホールを次々と作り出すことが可能だそうです。もちろん,極小のなので危険はないとか。
ほかには,とても読み切れない論文の山から“お宝”を見つけ出すコンピュータープログラム。季節ものとしては雷の話題などはいかがでしょうか?

脳科学

やっぱり違う 男と女の脳  L. カーヒル

解剖学的な構造もそこで起きている化学反応にも,脳には明らかな男女差がある。ストレスに対する強さなどにも違いが見られる。最適な学習環境は少年と少女で違うだろうし,精神疾患の治療も患者の性別を考慮したほうがよさそうだ。

 

物理学

ブラックホールを製造する  B. J. カー/S. B. ギディングズ

粒子加速器を使って地上に小さなブラックホールを作り出す──理論物理学の研究から,びっくりするような構想が生まれてきた。「隠れた次元」の存在など,時空の謎に迫る壮大な実験が始まる。

 

情報技術

自己組織化する視覚チップ  K. ボアヘン

生体の神経回路をまねた小型で高効率なシリコンチップの開発が進んでいる。眼球に埋め込んで視覚を再生する人工網膜チップをはじめ,ロボットの眼やさまざまなセンサーとしての応用も期待される。

 

気象学

稲妻から出るX線を追え  J. R. ドワイヤー

これまで宇宙から飛んでくると考えられてきたX線が,実は稲妻からも大量に出ていることがわかってきた。これを手がかりに,雷の発生の謎が解けるかもしれない。

 

バイオインフォマティクス

発見するコンピューター 論文の山から宝を探す  G. スティックス

未読論文の中に重要な事実が埋もれてはいないだろうか?人間に代わってそれを探り当ててくれる人工知能が登場した。

 

医学

蔓延するクラミジア  D. M. オーシャス/T. ダービル/P. M. バーボイル

クラミジア菌は性感染症や肺炎,トラコーマなど,さまざまな病気を引き起こす。治療を受けられない開発途上国の人々が失明の危機にさらされる一方,先進国では不妊症の深刻な原因となっている。

 

惑星科学

なぜ熱かった? 小惑星の謎  A. E. ルービン

小惑星は大きな天体に比べると熱を逃がしやすい。それなのに火山の噴火など過去に熱せられた痕跡がみられるのはなぜか。小惑星同士の衝突がその原因のひとつとして注目されている。

 

 

 

世界の研究室から

 天国に一番近い島」でサンゴ礁研究  山野博哉(フランス開発研究所客員研究員)

サイエンス考古学

 プラセボ効果/ガルベストンの復興/麻酔薬スコポラミン/ラングリーの飛行機/寄生虫駆除装置

TOPICS

RNAに見つかった新たな役割/体の左右を決めるのは?/言葉なしでも計算は可能/明るい爆発が照らす宇宙の謎/@homeで科学に貢献/脳を破壊する藍藻/桜井天体,短い再燃焼/死んだ骨を生き返らせる/オールプラスチック太陽電池/しぶきが上がらない液体/頭のなかの重力/トバイアス博士来日/科学普及の先駆者 ほか

いまどき科学世評

 改めて問いたい「専門家の良心」  塩谷喜雄

パズリング・アドベンチャー

 安心したい独裁者  デニス・シャシャ

旅して発見!

 雨が生みだす森と海 フィヨルドランド  文・写真:西森有里

素顔の科学者たち

 文学を医療に生かす  リタ・シャロン

WAVE

 意味解析が開く世界/ペンギンの過酷な子育て/すばる望遠鏡を支える学生エンジニア/替え玉受験の告白

現代からくり拝見

 テニスボール

ブックレビュー

 『共感する女脳、システム化する男脳』

 『社会生物学論争史』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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