日経サイエンス 2005年5月号

特集:清潔社会の落とし穴

2005年3月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

社会が清潔になるにつれ,減った病気はたくさんあります。けれども増えた疾患もあって・・・。特集では,胃潰瘍の原因とされたピロリ菌とそれが減るにつれて増えてきた恐ろしい病気との関係を紹介。さらにはアレルギーと清潔社会との関係も検証します! サイエンス・イン・ピクチャーでは江戸時代の尾張藩の古文書を紹介。当時,伊勢湾にはいまでは絶滅したニホンアシカがいて,国際保護鳥のアホウドリの姿を見ることもできたようです。

健康

特集:清潔社会の落とし穴

現代は人類の歴史上例をみない“清潔社会”だ。おかげで長年人類と共生してきた微生物にはすみにくい環境になっている。これは人間にとってみてもよいことばかりではないようだ。

 

ピロリ菌の意外な効用  M. J. ブレイザー

 

細菌の減少がアレルギーを招く 崩れる現代人の免疫バランス  白川太郎/渡邉映理

 

耐性菌をもう増やすな  詫摩雅子

 

 

情報科学

Googleを超える利口な検索エンジン  J. モスタファ

ユーザーの関心に合わせて検索結果を絞り込み,画像や音楽まで探し当てる。そんな新しい検索エンジンが次々に開発されている。

 

神経科学

記憶を固定する分子メカニズム  R. D. フィールズ

深く心に刻み込まれた記憶がある一方,数時間で消えてしまう記憶もある。「記憶せよ」という指令はいつどこから出るのだろうか。脳の神経細胞とカルシウム量の変化に記憶増強の秘密があった。

 

応用物理学

チップ上に実現したボース・アインシュタイン凝縮体  J. ライヒェル

微細配線が生み出す磁場を利用すると,極低温の原子を自在に操作できる。量子コンピューターなどへ応用の道が広がりそうだ。

 

サイエンス・イン・ピクチャー

江戸時代の愛知博物誌 謎の古文書『張州雑志』をひもとく  金澤智

動物・植物・人々の暮らしなどを紹介する大著があった。今ではめったに見ることのできない生き物たちが生き生きと描かれている。

 

ナノテクノロジー

ナノチューブで作る記憶素子  G. スティックス

カーボンナノチューブを微小なスイッチとして使う画期的なメモリーが考案された。米ベンチャーが大手と組んで実用化に挑んでいる。

 

技術

われら学生発明王  S. マースキー

米国で開かれている学生発明コンテスト。若者たちの考案はどれもユニークな発想が光っている。2004年の優秀作を紹介する。

 

 

 

世界の研究室から

 「宇宙じん」の生い立ちに思いを馳せて  木村勇気(NASAゴダード宇宙飛行センター研究員)

サイエンス考古学

 病原微生物説/インスリンのアミノ酸配列/石炭資源/アルシュデックの飛行機/動くプラットホーム/月の影響

TOPICS

常温核融合の真偽,決着持ち越し/新種の複合粒子を発見/露わになったタイタンの地表/クジラもかかる潜水病/クローン牛から生まれた子牛/的がはずれた分子標的薬/カバの祖先をたどる/脳の病は心臓で治す/ウイルスいらずの遺伝子導入法/恐竜ロボット登場/宇宙暮らしを清潔に/送電線で高速接続/最期まで輝いた進化学の巨星/極小の誘電体ビット/こびと原人の脳 ほか

旅して発見!

 裏磐梯に木を植えた男  文:詫摩雅子 写真:赤沼博志

パズリング・アドベンチャー

 双子の冒険(4) 山登りロボットの登山ルート  デニス・シャシャ

いまどき科学世評

 BSE問題にみる科学と非科学  塩谷喜雄

パズルの挑戦! 講評

 山崎秀記/坂井公

素顔の科学者たち

 人間に代わるロボットを目指す  ハンス・モラベック

外来どうぶつミニ図鑑

 キョン 動物園を逃げ出した小さなシカ  文・写真 鈴木欣司

WAVE

 忍び寄る温暖化ガスの影響/着ているだけで健康チェック/隕石関係なし

新連載 現代からくり拝見                               

 キーレスエントリー

フレッシュマンのための読書ガイド

 怪しい科学の本  石浦章一

 南極に学ぶ 挫折と栄光の歴史  島村英紀

 科学は好きですか  森山和道

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