特集:アインシュタイン
「奇跡の年」から100年 天才を超える挑戦が始まった
プロローグ
偉大なる遺産 G. スティックス
1905年,1人の特許官吏の思考が世界を決定的に変えた。彼の知的遺産は新世代の物理学者に受け継がれ,万物を説明する「究極理論」の探究が続いている。
エレクトロニクス
太陽電池からGPSまで 身の回りのアインシュタイン P. ヤム
私たちの身近な電化製品にはアインシュタインの理論が生かされている。光電効果を利用した太陽電池,相対性理論によって調整されたGPS衛星・・・彼の生涯にわたる功績は現在の技術の中で今も生き続けている。
テクノロジー
天才の理論から生まれる未来技術 W. W. ギブズ
意外かも知れないが,彼の理論は実用品づくりにも応用されている。まったく新しい動作原理のコンピューターやナノテクを支える高性能の分子ふるい,油田や鉱脈を探す超高感度重力センサーなどが生まれようとしている。
オマージュ
Einstein=Man of Conscience2 良心の人アインシュタイン
SCIENTIFIC AMERICAN編集部 (全文をお読みいただけます)
一般相対性理論
残された謎 宇宙定数の正体を追え L. M. クラウス/M. S. ターナー
アインシュタインが導入し,後に撤回した「宇宙項」が,新たな意味を帯びて現代の宇宙論に復活を果たした。謎のエネルギーの正体はいったい何なのか?
ひも理論
進化した世界像 ひも理論が描く多重宇宙 R. ブッソ/J. ポルチンスキー
ひも理論は宇宙がとり得るあらゆる可能性を描き出す。その広大な風景の中には無限ともいえる多くの谷が並んでいる。その中から偶然選ばれた1つの谷が私たちのこの宇宙なのだ。
量子力学
やっぱり神はサイコロを振らない? G. マッサー
アインシュタインは,量子力学は古典力学に通じる道だと考えていた。一度は否定された彼の意見に賛同する科学者たちが,最近徐々に増えてきた。
特殊相対性理論
相対論の破れを観測せよ A. コステレツキー
相対性理論も決して“絶対的”なものではない!? 侵すべからざる原理と考えられたアインシュタインの理論に現代物理学が挑戦を始めた。相対論の破れから,万物を説明する「究極理論」の手がかりが得られるはずだ。
磁性
理論家を虜にした実験 P. ガリソン
一般相対性理論を完成させようとしていた,まさにその最中,アインシュタインは鉄の棒の磁性に熱を上げていた。
業績と生涯
証言で追う巨人の軌跡 D. C. シュレノフ
のちに「奇跡の年」と言われる1905年,アインシュタインは,今世紀の金字塔となる数本の論文を世に問うた。その時々の物理学者の言葉から,巨人の生涯を振り返る。
科学哲学
自ら記した統一理論の夢 G. マッサー
1950年,SCIENTIFIC AMERICANに寄せた一文の中で,アインシュタインは待ち望まれていた統一理論のあらましを述べた。それ自体は誤りだったが,彼の科学哲学を知るうえでは興味深い。
科学史
天才大比較 アインシュタインとニュートン A. ライトマン
科学界の2人の巨人は,よく似た知性と性格を持っていた。
世界の研究室から
ゴシック様式の陰に大らかで緻密なフランス人あり 加藤耕一(フランス・パリ第4大学ソルボンヌ)
サイエンス考古学
幼い命を脅かすクワシオルコル/薬草治療/ローマ皇帝カリグラの船/遊園地の楽しみ/水は濾過して
TOPICS
2004年のノーベル賞決まる/太陽風回収衛星,砂漠に激突/エボラに対抗するワクチン/新タイプの人工網膜/打ち上げ再開に備えるシャトル/インフルエンザで神経疾患に?/長生きが支えた人類の進化/クジラとともに,骨の髄まで/幹細胞づくりへの道/過去をつなぎ合わせる/ヤマメからニジマス/宇宙をのみ込むワームホール/もつれた光 ほか
外来どうぶつミニ図鑑
ヌートリア 池にすみつく巨大ネズミ 文・写真 鈴木欣司
素顔の科学者たち
2100年までに人類は滅亡する? マーティン・リース
いまどき科学世評
オカルト復権と科学者の責務 塩谷喜雄
パズリング・アドベンチャー
双子の冒険(2) 信用できない目撃者 デニス・シャシャ
旅して発見!
海に浮かぶ大修道院 モン・サン・ミッシェルを取り戻せ 文・写真 西森有里
WAVE
採択率9%の裏側/1セントのICタグを目指せ/映画に出てくる虫たちの真実
ブックレビュー
『量子のからみあう宇宙』
『興奮する数学』
<連載>森山和道の読書日記 ほか