日経サイエンス 2004年4月号

時空の原子を追う ループ量子重力理論

2004年2月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

日常的な感覚からすると,時間も空間も連続しているように思えます。しかし,非常に小さなスケールになると,それ以上は細かくできない“時空の原子”が見えて来るというのです。私たち自身も表紙のイラストのように離散的な存在かも知れませんね。
他には,ドキュメント火星着陸,統合失調症の治療薬最前線,温暖化が食物連鎖を分断させている話など。

惑星探査

ドキュメント 火星着陸を支えた科学者たち  G. マッサー

米国の2機の探査車が火星着陸を果たした。一部機器のトラブルが心配されたが,鮮明な画像が次々と届きつつある。科学者たちの信念が火星探査に新時代を開いた。

 

物理学

時空の原子を追う ループ量子重力理論  L. スモーリン

空間や時間が連続したものだと考えるのは大間違いらしい。相対論と量子力学の統合を目指す新理論によると,“時空の原子”が存在する。アインシュタインが果たせなかった難問解決への道筋が見えてきた。

 

神経薬理学

統合失調症 治療薬開発の最前線  D. C. ジャビット/J. T. コイル

脳の神経伝達物質グルタミン酸に着目した新薬開発が進み,従来の抗精神病薬が効かなかった人たちにも治療の可能性が出てきた。

 

天文学

成長し続ける天の川銀河  B. P. ワッカー/P. リヒター

はるか昔に成長を終えたと思われていた天の川銀河が,近隣の銀河をのみ込みながら今なお活発に活動していることがわかった。

 

生態学

早まる春 崩れる生き物たちのリズム  D. グロスマン

芽吹きとともに若葉を食べる虫が現れ,それを小鳥はヒナへのエサにする──こうした絶妙のタイミングが温暖化で乱されつつある。

 

地球科学

世界が燃え尽きた日 大絶滅と復活のシナリオ  D. A. クリング/D. D. ダーダ

恐竜をはじめ多くの生物を滅ぼした6500万年前の小惑星衝突。想像を絶する大火災の焼け跡から生命はいかに復活を果たしたのか?

 

生物学

遺伝子でみた世界の人々  M. J. バムシャッド/S. E. オルソン

ゲノム情報をもとに人類をいくつかのグループに分けることは可能で,こうしたグループ分けは医療の現場にも役立つだろう。だが,遺伝情報に基づくグループは,いわゆる人種とは必ずしも一致しない。

 

 

 

世界の研究室から

 医師の視点で先天性心奇形の解明に挑む  大石公彦(米国マウントサイナイ医科大学小児科人類遺伝学科フェロー)

サイエンス考古学

 増え続ける人口/トリチウム/デング熱の媒介動物/消防服/専門家の証言/たのしさ半減

TOPICS

新型インフルエンザに備えるワクチン/磁気記憶ナノリング/ガンマ線バーストの起源/筋ジス症の奇妙な原因/月の氷,採掘利用は困難か/ドーピングを捕まえろ/エイズ耐性は天然痘のおかげ?/迷える高等動物/紅葉の警戒警報/コウモリ衝突死で風力発電に逆風/負の摩擦力が存在?/振動管で浮遊粒子を濃縮/花の香りが薄れるわけ/ハイテク飛行船で空から偵察 ほか

いまどき科学世評

 200億円法外論の浅慮  塩谷喜雄

パズリング・アドベンチャー

 回路の検査  デニス・シャシャ

旅して発見!

 お花畑を歩くキガシラペンギン  文・写真 西森有里

最終回 瀬名秀明の時空の旅

 宇宙に残された96%の謎  ナビゲーター:佐藤勝彦

素顔の科学者たち

 微生物の大きな役割を追う  サリー・W・チザム

パズリング・アドベンチャー特別版

 「意外列」の上限を探せ!  田中裕一/平理一郎

WAVE

 「中村裁判」が問う研究者の処遇/マイクもスピーカーもワンチップ/特許の延命は許されるか/“理数音痴”は怖い

ブックレビュー

 『ダーウィンと家族の絆』

 『不死を売る人びと』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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