ロボティクス
なぜロボット研究者はヒューマノイドを研究するのか─。世の中に役立つロボットを開発するだけでなく,ロボットを通じて人間の身体や心,知能を探ろうと考えているからだ。
工学が明かす身体の巧妙さ 高西淳夫
機械はコツを身につけられるか 國吉康夫
“情”が作る真のコミュニケーション 菅野重樹/尾形哲也
ヒューマノイド進化のシナリオ 土井利忠
遺伝子の退化がヒトを生み出した 高畑尚之
ヒトとチンパンジーのゲノムを比べても,ほとんど差はない。ヒトだけが持つ遺伝子というのはなく,むしろある特定の遺伝子を失ったことが“ヒトらしさ”を生みだしている。
天文学
銀河衝突が生み出す若い球状星団 S. E. ゼフ/K. M. アシュマン
球状星団は銀河誕生と同じくらい古い天体と思われていたが,最近その常識が覆された。銀河同士の衝突で今も新しく生まれている。
医学
ガン治療にウイルスを活かす D. M. ネテルベック/D. T. キュリエル
病気の原因となるウイルスだが,遺伝子工学の手法を使ってうまく改造すると,ガンを効果的に攻撃する武器になる。こうした「ウイルス療法」の効果を調べる臨床試験も始まった。
考古学
「デルフォイの神託」の秘密 J. R. ヘイル/J. Z. デ・ボーア/J. P. チャントン/H. A. スピラー
古代ギリシャ・デルフォイのアポロン神殿では,巫女が神聖な霊気を受けて神託を伝えると信じられてきた。一度は否定されたこの言い伝えの科学的根拠が,最近になって明らかになった。
科学史
初飛行から100年 ライト兄弟の栄光と悲劇 D. C. シュレノフ
人類初の動力飛行という偉業も,当時は秘密のベールに閉ざされていた。栄誉が確立したのはずっと後になってからだった。
世界の研究室から
ドイツの大学改革 高木剛(ダルムシュタット工科大学助教授)
サイエンス考古学
オルドバイ峡谷/線文字Bの解読/飛行機の時代/鳥と種/X線による正確な人体図/パラフィン蝋燭
TOPICS
太陽光帆船,近く打ち上げ/人が働くと気温変動が鈍る?/バクテリア電池に現実味/ねじれた光で宇宙を探る/湖のふたを開けて大丈夫?/競争相手を殺す植物/アルツハイマー病と炎症の関係に疑問/ウイルスたちの戦い/安価なチタンを目指して/過酸化水素で環境浄化/ブラックホール救命具 ほか
いまどき科学世評
トップダウン研究の危うさ 塩谷喜雄
瀬名秀明の時空の旅
量子が実現するテレポーテーション ナビゲーター:古澤明
パズリング・アドベンチャー
紛争抑止の戦略を立てる デニス・シャシャ
素顔の科学者たち
運び屋を追いかけろ! 杉山雄一
旅して発見!
冬支度をするヨセミテ国立公園のナキウサギ 文・写真 金澤智
WAVE
研究評価は国の意向次第?/迷惑メールの根源を断てるか/ソフト購入者の権利を守れ/遠すぎた橋
ブックレビュー
『とらわれの脳』
『ノアの洪水』
<連載>森山和道の読書日記 ほか