日経サイエンス 2003年10月号

人はなぜガンになるのか

2003年8月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

 6万年ぶり(!)という,火星の大接近,わくわくしますね! その火星を紹介するビジュアルなページを用意しました。世界的に漁獲量が減っているのは乱獲が原因か,それとも自然の大きな周期変動の一部なのか? 「魚が消える?」では2つの意見を取り上げます。
 表紙の印象的な人物像は古代インダス文明の遺物です。強大な王様が支配するのではなく,商工業が発達した都市文明だったようです。
 2002年11月号に付けて大好評をいただいた「ナノテク便利帳」が,新情報を加えて「新・ナノテク便利帳」として登場します。今月号はお買い得ですね!

サイエンス・イン・ピクチャー

火星大接近  渡部潤一

運河や火星人の存在など昔からロマンあふれる話題の多い火星が,8月27日に6万年ぶりの大接近をする。巨大な火山がそびえ,深い峡谷が蛇行する火星の素顔をのぞいてみると……。

 

医学

人はなぜガンになるのか 発ガン仮説の最前線  W. W. ギブス

1980年代以降,ガン抑制遺伝子や発ガン遺伝子の研究が急速に進んだ。しかし,100を超えるガン関連遺伝子が発見された現在でも,多くのガンの発病メカニズムは混沌としてつかめない。代わって登場したのが,染色体の異常に注目する新しい仮説だ。

 

環境

魚が消える?

世界各地で漁獲高の減少が報告されている。乱獲による影響で,このまま漁業資源は枯渇してしまうのか。それとも,過去にもあった自然変動の範囲内で,いずれは回復するのか。異なる2つの考え方を,カナダと日本の研究者がそれぞれの根拠に基づいて報告する。

 

乱獲で崩れる食物連鎖  D. ポーリー/R. ワトソン

 

気候変動が左右する増減サイクル  渡邊良朗

 

 

天文学

星の誕生とブラックホール その奇妙な関係  K. ウィーバー

星が急激に生まれるスターバーストと星の死の後に残るブラックホール。星の誕生と死の現場に意外な関連性が浮上してきた。

 

情報技術

携帯電話を追跡する賢いアンテナ  M. クーパー

多くの人が携帯電話を持ち歩くようになった。しかし,電波資源は限られているので,混信のない通話を確保するには工夫がいる。そこで活躍するのがアダプティブアレイと呼ぶ新方式のアンテナだ。

 

考古学

商人が築いたインダスの古代都市文明  J. M. ケノイヤー

インダス文明はその文字も未解読で多くの謎を秘めている。ただ軍事力をもたず,工芸技術や商業にすぐれた都市文明だったようだ。

 

医療

人工心肺が認知障害を招く?  B. スタッツ

過去50年にわたって心臓手術を支えてきた人工心肺だが,この装置の使用で生じる血栓などが記憶力の低下などを招く危険性があり,しかもそれが長期間続く場合もあることがわかってきた。

 

 

 

世界の研究室から

 台湾人研究者が切り開いた高圧物理の世界  岡本和明(台湾中央科学院地球科学研究所)

サイエンス考古学

ディナーに緑を/ラングリーの失敗/火を貸して/サニタス・アメリカーナ(アメリカの清潔)/列車の石炭/昨今のファッション

TOPICS

仏伊共同の重力波観測が始動/前年の天気が山火事に影響/電気仕掛けで体を冷却?/殺虫剤,「秘密の成分」は要注意/慣れでは読めない英単語/水中を見通す瞳/水素漏れに注意!/新薬開発,締めておいくら?/地球の中心を探る新手法/温暖化否定報告めぐり熱い激論/レーザーでくっつける ほか

いまどき科学世評

 だれが核の真実を伝えるのか  塩谷喜雄

パズリング・アドベンチャー

 密輸品を追え  デニス・シャシャ

瀬名秀明の時空の旅

 人はなぜ「あんなこと」を信じてしまうのか  ナビゲーター:菊池聡

素顔の科学者たち

 小惑星から目を離すな  ブライアン・マースデン

旅して発見!

 海鳥たちの楽園 北海道・天売島  文・写真 金澤智

WAVE

 粒子を操る光のピンセット/続・えっ,これが特許なの?/誰がために予算はある/何て素敵なムダ知識

ブックレビュー

 『冷蔵庫と宇宙』

 『サイエンス・コミュニケーション』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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