再生医療
特集:人体をつくる 再生医療の挑戦
病気などで傷ついた体を再生・修復し,健康体に戻す「再生医療」の研究が加速している。さまざまな病気を対象に研究が進んでおり,数年内にも実用段階に入るかもしれない。
プロローグ
人の体はどこまで再生できるのか 中辻憲夫
ES細胞を使って
パーキンソン病への応用 高橋淳
網膜再生による視機能回復 高橋政代
組織幹細胞を使って
脊髄損傷治療への道 岡野栄之
肝臓再生を目指して 谷口英樹
体性幹細胞を使って
血管を蘇らせる 浅原孝之
組織工学
細胞から臓器をつくる 岡野光夫/大和雅之
推進プロジェクトと社会
加速する実用化への研究 中村雅美
物理学
暗黒物質ニュートラリーノを追う D. B. クライン
宇宙に満ちている暗黒物質の正体を突き止めようと,世界中で観測プロジェクトが進行している。検出技術の向上で捕捉の可能性は高まっており,宇宙最大級の謎が解明される日はそう遠くない。
技術と文化
デジタル技術で崩れる? ハリウッドの一人勝ち H. B. ファイゲンバウム
衛星放送やインターネットのおかげで,今や世界中でハリウッド映画が見られる。一方,デジタル制作は低予算映画の強力な味方だ。
原子力
原子炉解体 米国からの報告 M. L. ウォールド
放射能を帯びた設備の処理は困難な作業だ。安全性の確保や費用負担なども難問。一足先に米国で進む廃炉の実情をリポートする。
科学エッセー
脳をあやつる虫 R. サポルスキー
ある種の微生物は動物の脳に寄生し,自分に都合のいいように宿主の神経回路を操作してしまう。この虫,ヘタな神経科学者よりも脳のことをずっとよく知っているようだ。
理系を目指す若者へのメッセージ
「私の修業時代」
いま輝いている研究者たちは10代,20代にどんな修業時代を送ったのだろうか。先の見えない時代だからこそ,若者はいま自分を鍛え,力をつけなければならない。世界的な活躍をする先輩たちに若者へのメッセージを語ってもらった。
自律せよ それが独創を生む 坂村健
自分で考え抜く力をつけろ 中村修二
一生懸命になれるものをみつけろ 森下竜一
形にしてこそ夢は実現する 黒木義博
世界の研究室から
小さなガラス球の魔術 寺岡巌(米ポリテクニック大学助教授)
サイエンス考古学
真実か幻覚か?/化学洗浄剤/アケボノウマ/驚異からガラクタへ/あるれる魚/豆腐は初耳
TOPICS
重力場は本当に光速で伝わるのか?/宇宙初期の姿がくっきり/RNAの分子モーター/硫黄細菌が明かす太古の地球/
遺伝子は同じでも/危機を脱したのかハイイロオオカミ/地面に模様ができる秘密/家庭に近づくヒューマノイド/
沈没タンカーが残した宿題/磁場で電気抵抗が急低下/「水切り遊び」の科学 ほか
旅して発見!
インドネシアの海で海洋調査ボランティア 文・写真 西森有里
いまどき科学世評
「科学の都」とSARS対策 塩谷喜雄
瀬名秀明の時空の旅
類人猿のゲノムで探る人間らしさの起源 ナビゲーター:斎藤成也
性をめぐる7つのミステリー
男と女はなぜひかれ合うのか? 渡辺志歩
素顔の科学者たち
核燃料埋設計画に異議あり ロドニー・C・ユーイング
パズリング・アドベンチャー
確実な金庫の破り方 デニス・シャシャ
WAVE
西表島で進む大規模リゾート計画/ベル研が消える?/バイドール法の副作用/ハンバーガーは悪くない
ブックレビュー
『生命40億年全史』
『50羽から5000羽へ』
<連載>森山和道の読書日記 ほか