日経サイエンス 2003年6月号

特集:人体をつくる 再生医療の挑戦

2003年4月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

特集は進展の速い「再生医療」です。ヒトのES細胞が見つかったのはつい最近なのに,医療応用を目指した研究はどんどん進んでいます。日本での最新状況をお伝えします。
 もうひとつ,新年度に合わせて理系を目指す若い人へのメッセージを企画しました。
 翻訳記事としては,ニュートリノならぬニュートラリーノ,原子炉の解体,デジタル映像技術の波及効果,宿主の行動を変えてしまう寄生虫をめぐるエッセーなどがあります。

再生医療

特集:人体をつくる 再生医療の挑戦

病気などで傷ついた体を再生・修復し,健康体に戻す「再生医療」の研究が加速している。さまざまな病気を対象に研究が進んでおり,数年内にも実用段階に入るかもしれない。

 

プロローグ

人の体はどこまで再生できるのか  中辻憲夫

 

ES細胞を使って

パーキンソン病への応用  高橋淳

 

網膜再生による視機能回復  高橋政代

 

組織幹細胞を使って

脊髄損傷治療への道  岡野栄之

 

肝臓再生を目指して  谷口英樹

 

体性幹細胞を使って

血管を蘇らせる  浅原孝之

 

組織工学

細胞から臓器をつくる  岡野光夫/大和雅之

 

推進プロジェクトと社会

加速する実用化への研究  中村雅美

 

 

 

物理学

暗黒物質ニュートラリーノを追う  D. B. クライン

宇宙に満ちている暗黒物質の正体を突き止めようと,世界中で観測プロジェクトが進行している。検出技術の向上で捕捉の可能性は高まっており,宇宙最大級の謎が解明される日はそう遠くない。

 

技術と文化

デジタル技術で崩れる? ハリウッドの一人勝ち  H. B. ファイゲンバウム

衛星放送やインターネットのおかげで,今や世界中でハリウッド映画が見られる。一方,デジタル制作は低予算映画の強力な味方だ。

 

原子力

原子炉解体 米国からの報告  M. L. ウォールド

放射能を帯びた設備の処理は困難な作業だ。安全性の確保や費用負担なども難問。一足先に米国で進む廃炉の実情をリポートする。

 

科学エッセー

脳をあやつる虫  R. サポルスキー

ある種の微生物は動物の脳に寄生し,自分に都合のいいように宿主の神経回路を操作してしまう。この虫,ヘタな神経科学者よりも脳のことをずっとよく知っているようだ。

 

理系を目指す若者へのメッセージ

 「私の修業時代」

いま輝いている研究者たちは10代,20代にどんな修業時代を送ったのだろうか。先の見えない時代だからこそ,若者はいま自分を鍛え,力をつけなければならない。世界的な活躍をする先輩たちに若者へのメッセージを語ってもらった。

 

自律せよ それが独創を生む    坂村健

自分で考え抜く力をつけろ  中村修二

一生懸命になれるものをみつけろ  森下竜一

形にしてこそ夢は実現する  黒木義博

 

 

世界の研究室から

 小さなガラス球の魔術  寺岡巌(米ポリテクニック大学助教授)

サイエンス考古学

 真実か幻覚か?/化学洗浄剤/アケボノウマ/驚異からガラクタへ/あるれる魚/豆腐は初耳

TOPICS

 重力場は本当に光速で伝わるのか?/宇宙初期の姿がくっきり/RNAの分子モーター/硫黄細菌が明かす太古の地球/

 遺伝子は同じでも/危機を脱したのかハイイロオオカミ/地面に模様ができる秘密/家庭に近づくヒューマノイド/

 沈没タンカーが残した宿題/磁場で電気抵抗が急低下/「水切り遊び」の科学 ほか

旅して発見!

 インドネシアの海で海洋調査ボランティア  文・写真 西森有里

いまどき科学世評

 「科学の都」とSARS対策  塩谷喜雄

瀬名秀明の時空の旅

 類人猿のゲノムで探る人間らしさの起源  ナビゲーター:斎藤成也

性をめぐる7つのミステリー

 男と女はなぜひかれ合うのか?  渡辺志歩

素顔の科学者たち

 核燃料埋設計画に異議あり  ロドニー・C・ユーイング

パズリング・アドベンチャー

 確実な金庫の破り方  デニス・シャシャ

WAVE

 西表島で進む大規模リゾート計画/ベル研が消える?/バイドール法の副作用/ハンバーガーは悪くない

ブックレビュー

 『生命40億年全史』

 『50羽から5000羽へ』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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