日経サイエンス 2003年2月号

星が衝突するとき

2002年12月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

1月号の小柴昌俊先生に続いて,今月号では田中耕一さんにご登場いただきました! “役に立つこと”への思いを語っていただきました。
 確率的に言って,星の衝突はありえないとされていましたが,それは銀河の辺境での話。もし太陽に白色矮星が衝突したら白色矮星は無傷ですが,太陽の方は──。
 SCIENTIFIC AMERICANが選んだ科学技術分野のリーダー・ベスト50では,日本からはホンダの吉野浩行社長が交通分野のビジネスリーダーに選ばれました。
 そのほかには「量子情報科学」という基礎科学の深淵をのぞかせてもらう話,88年ぶりの昆虫界の大発見,ガン免疫療法に期待される樹状細胞の話などを載せています。

ノーベル化学賞

現地報告ノーベル賞授賞式  小林辰男

 

田中耕一島津製作所フェローに聞く

質量分析は縁の下の力持ち「もっと世の中の役に立ちたい」  田中耕一氏(島津製作所)

 

 

天文学

星が衝突するとき  M. シャラ

広い宇宙で星と星が衝突するのはまれだと考えられてきた。だが球状星団のように星の密度が高いところでは珍しくない現象だ。互いの重力で引き合った星どうしが衝突すると,一方が消滅したり,合体して1個の星になったりする。

 

物理学

量子情報科学への招待  M. A. ニールセン

量子コンピューターやテレポーテーションは量子情報科学の一端にすぎない。複雑な量子系を探ると,自然界の高等原理が見えてくる。

 

動物学

88年ぶりの大発見 砂漠に生きていた新昆虫

  J. アディス/O. ゾンプロ/E. ムーンボロ=ゴアゴセス/E. マレ

 

南アフリカの砂漠にマントファスマを求めて  東城幸治/町田龍一郎

昆虫の新種発見は珍しくないが,どれも「チョウの仲間」とか「ハエの仲間」などと呼べるものだ。ところがこうした呼び方ができない,まったく新しいタイプの昆虫が見つかった。

 

テロ対策

死の灰をまき散らすダーティーボム  M. A. レビ/H. C. ケリー

通常の爆薬を使って放射性物質をまき散らす“汚い爆弾”。テロに備え,核物質管理の徹底や対策技術の開発などを急ぐ必要がある。

 

技術

SCIENTIFIC AMERICANが選んだ 2002年のベスト50

科学の発展には,研究者はもちろん企業人や政策立案者たちの協力が欠かせない。科学技術分野で優れたビジョンを打ち出したリーダーたちを紹介する。

 

医療

ガン免疫療法の切り札 樹状細胞  J. バンシュロー

体内の全白血球のわずか0.2%にすぎない樹状細胞。この希少な細胞には免疫系の司令塔としての役割があるらしい。

 

 

 

世界の研究室から

 “地球の窓”昭和基地より  神山孝吉(第43次日本南極地域観測隊越冬隊長)

サイエンス考古学

 生きた化石の発見/ワトソンとクリック以前/新しい自動車/水銀灯/地球の内部/ネモ艦長に報告せよ

TOPICS

 見えてきた免疫系の制御法/マウスのゲノムが示した謎/相対性理論に見直し機運/ゴキブリの素早さの秘密/

 夜空に太陽を探せ/地磁気は反転しつつあるのか?/手がかりはキーボードにあり/細胞がくっつく瞬間/

 入れ歯よさらば

いまどき科学世評

 備えなく憂いばかりの震災列島  塩谷喜雄

旅して発見!

 真夏の南極 自然に触れるエコツアー  文・写真 西森有里

パズリング・アドベンチャー

 完璧なビリヤード台  デニス・シャシャ

瀬名秀明の時空の旅

 石が伝える地球と生命の物語  ナビゲーター:平朝彦

性をめぐる7つのミステリー

 性転換する生き物の不思議  渡辺志歩

WAVE

 もっとリアルに!熱帯びる立体テレビ研究/途上国にやさしい携帯情報端末/大発見を支えた小さな博物館/男の性

ブックレビュー

 『統計はこうしてウソをつく』

 『ナノテクノロジーの世紀』

 <連載>森山和道の読書日記  ほか

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