日経サイエンス 2003年1月号

特集:燃料電池が変える自動車の未来

2002年11月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

1,429円+税

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編集部から一言

今月号のおすすめ記事は「燃料電池が変える自動車の未来」。日本におけるクルマ産業の役割を考えると,無視できません。インフラ整備,コストダウンなど,課題はまだありますが,トヨタとホンダは実用車をこの12月に首相官邸に納品します。燃料電池で走るクルマが当たり前になるのは,意外に早いかもしれません。
 ノーベル賞の続報ももちろんあります。今月号では,まず小柴先生にご登場いただきました。インタビュー記事のほか,佐藤勝彦・東大理学部長

ノーベル物理学賞 小柴昌俊 東京大学名誉教授に聞く

カミオカンデで射止めた夢 「僕はやりたいことをやってきた」  小柴昌俊(東京大学名誉教授)

 

ニュートリノ天文学の誕生と新展開  佐藤勝彦

小柴昌俊氏がひらいたニュートリノ天文学はどのようにして生まれ,その後どのような展開を見せているのか。小柴氏にインタビューするとともに,理論の立場から佐藤勝彦氏に寄稿してもらった。

 

 

特集:燃料電池が変える自動車の未来

燃料電池車が間もなく実用化される。効率は内燃機関を大きく上回り温暖化ガスや排ガスをまったく出さない。さらに自動車の概念をも一変させ,経済・社会に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

燃料電池が変える自動車の未来  L. D. バーンズ/J. B. マコーミック/C. E. ボローニ=バード

 

21世紀のクルマがデビュー 普及にはなお課題  編集部

 

 

脳神経科学

思考でロボットをあやつる  M. A. L. ニコレリス/J. K. チェーピン

頭の中で想像しただけで機械が動かせる──。脳-マシン・インターフェイスの研究が進み,ラットやサルでは実験に成功している。こうした技術は近い将来,障害をもつ人の助けになるだろう。

 

生物学

肌の色が多様になったわけ  N. G. ジャブロンスキー/G. チャップリン

熱帯にすむ人々の肌色が濃く,高緯度地帯の人では薄いのは,紫外線による皮膚ガンなどの悪影響を防ぐためと考えられてきた。だが,それだけではなく,生殖にかかわるもっと重要な問題が絡んでいた。

 

天文学

宇宙史のカギ握る銀河間ガス  E. スカナピエコ/P. プティジャン/T. ブロードハースト

宇宙空間,特に銀河と銀河の間は空っぽで何もないと考えられてきた。しかしごくわずかながら存在する銀河間物質が,宇宙の進化で重要な役割を果たしてきたらしい。

 

 

防衛技術

技術で防ぐバイオテロ  R. カサグランデ

 

重要な社会の備え  S. S. モース

バイオテロが恐ろしいのは,病原体がまかれたことに気がつかずに被害が拡大する点だ。すばやい検知と日頃の備えが最良の防御法だ。

 

 

エレクトロニクス

ナノエレクトロニクスの落とし穴 静電気  S. H. ボールドマン

静電気は半導体チップの大敵だ。回路や絶縁膜が壊れてしまう。回路がナノの領域へと微細化し,新対策が不可欠になってきた。

 

 

 

世界の研究室から

 研究に生きる  小玉哲也(ロンドン大学インペリアルカレッジ)

サイエンス考古学

 電波望遠鏡/統合失調症(精神分裂病)の治療/無線の脅威/酔っ払い向けランプ/産業発展の産物

TOPICS

宇宙背景放射で「ひも理論」を検証へ/同性愛のハエが誕生/夫婦は健康も似たものどうし/小惑星衝突から地球を救う/小鳥はとってもハイソ好き?/ブラックホール合体の痕跡/迫り来るエイズの脅威/未来のストラディバリウス/くっきり見える電子顕微鏡/揺れ収まらぬ米国の物理学界/食べても太らないマウス/優れた半導体ダイヤモンド/ハイテクで現代人の起源に迫る

いまどき科学世評

 知の成果への敬意うすい日本のひ弱さ  塩谷喜雄

新連載 性をめぐる7つのミステリー

 アダムとイブはどのようにして生まれたのか  西村尚子

パズリング・アドベンチャー

 スパイに持たせる暗号  デニス・シャシャ

瀬名秀明の時空の旅

 ロボットが人間を超える日  ナビゲーター:浅田稔

旅して発見!

 キツネザルと友だちになれる動物園  M. ハロウェイ

素顔の科学者たち

 宇宙生命の声に耳を澄ます  ジル・C・ターター

WAVE

 万能バイオセンサーが登場/進化論のふるさとを守る/まだまだ尽きない永久機関特許/ニュース怪説

ブックレビュー

 『蚊はなぜ人の血が好きなのか』

 『甦るチューリング』

 <連載>森山和道の読書日記  ほか

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