日経サイエンス 2002年10月号

特集:どうなる東海大地震

2002年8月24日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

日本人ならば無関心でいられない地震。今月の特集では,東海地震を取り上げます。というのも,最近,予兆ともとれる奇妙な現象が見られるから。もし10年たっても起きなかったとしたら,東海地震だけでなく,東南海・南海地震も連動する巨大複合地震になりかねないと危惧する専門家もいます。
もうひとつのおすすめは「老化防止薬」。今現在,売られているものには効果は期待できませんが,細胞レベル・分子レベルで老化を遅らせる薬がようやく射程に入ってきました。

地球科学

特集:どうなる東海大地震

「いつ起きても不思議ではない」といわれてから4半世紀。東海地震の想定震源域で異変が見つかっている。これは前兆現象なのだろうか。もし違っていたとしても,今世紀前半にはさらに巨大な地震が起きる可能性が高まる。

 

3つの異変が示す早期発生の可能性  松村正三

 

日本の半分を襲う複合巨大地震  安藤雅孝

 

超広域災害に備えろ  編集部

 

 

情報技術

レーザーで結ぶラストワンマイル  A. アカンポーラ

オフィスや家庭と光ファイバー基幹回線との間に残された“最後の1マイル”をどう結ぶか。新手法が浮上している。赤外線レーザーを飛ばして信号を送る「空の光ファイバー」だ。

 

神経行動学

ホシバナモグラの驚異の鼻  K. C. カタニア

北米の湿地にすむこのモグラは奇妙な鼻の持ち主だ。鼻を囲むように広がる22本の突起は0.5秒以下で餌を見分ける。目の働きをする鋭敏な感覚器と大脳皮質の関係がわかってきた。

 

物理学

超対称性の秘密を解く  J. ジョリー

物質や力のもとになっている素粒子の本質とは?その謎に迫るために考えられた「超対称性」という奇妙な現象の一端が,ある種の原子核に姿を現した。

 

医薬

見えてきた老化防止薬  M. A. レーン/D. K. イングラム/G. S. ロス

 

若返り商品ブームの現実  S. J. オルシャンスキー/L. ヘイフリック/B. A. カーンズ

カロリー制限を続けると,若々しくいられる期間が長くなる。このときの細胞内での変化を模倣する薬を開発できれば,老化防止薬になるだろう。すでに候補物質が見つかっている。あわせて,若返りをうたう商品の危うさを老化研究者が警告する。

 

医療

人工心臓で生きる 完全埋め込み型の実力  S. ディトリー

心臓の代わりに体内に埋め込んで使う人工心臓の臨床試験が始まっている。成功すれば心臓移植に代わる治療法となるかもしれない。

 

 

 

世界の研究室から

 研究者修行はドイツで  井上諭一(在ドイツ日本大使館一等書記官)

サイエンス考古学

 投入産出経済学/モデル共同住宅/米国産の昆虫類/デイジー,デイジー/カヤック/大量生産

TOPICS

量子コンピューターへ前進/世界最高地の気象観測塔が始動/「r」と「l」を混同するわけ/火星の地下に氷/目は脳ののぞき窓/医学論文に“数字の魔術”/ミステリーサークルの真実/発熱の少ない白色灯に一歩/有機溶媒は時代遅れになる!?/変異は続く,どこまでも/上層大気に潜む異常

同時多発テロから1年

 崩壊現場にいまも残る不安/思わぬ置きみやげ/科学の力で立ち向かえ

地球 塩の旅

 岩塩の板を運ぶキャラバン  文・写真 片平孝

旅して発見!

 然別湖のイワナと風穴地帯のナキウサギ  編集部

パズリング・アドベンチャー

 目隠し裁判  デニス・シャシャ

動物のおしゃべり解読学

 「かわいい!」に見る育児語の起源と進化  正高信男(京都大学霊長類研究所助教授)

素顔の科学者たち

 狂牛病を食い止める  リンダ・A・デトワイラー

最終回 科学の宿題21

 アルツハイマー病は克服できるか  荒川直樹

WAVE

 脳科学でとらえ直せ“理想の教育”  小泉英明

 「サブマリン特許」にようやく歯止め?/装着型コンピューターで街を行く/羽毛がつむぎ出す俳句新世界

ブックレビュー

 『ゾウの耳はなぜ大きい?』

 『メディシン・クエスト』

 <連載>森山和道の読書日記  ほか

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