日経サイエンス 2001年9月号

特集:脳の言語処理

2001年7月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

表紙を飾るのは変化アサガオ。メンデルの法則を知らずに,経験則だけでよくぞここまで,と感心すること請け合いです。珍妙なアサガオの写真・図譜がずらりと並んでいますので,ぜひ,書店でページを開いてみてください。
特集は脳の言語処理。普通の言語は聴覚-発声系をベースにしていますが,手話は視覚-運動系に基づいています。それでも,脳での処理部位は同じなのです。耳の聞こえない赤ちゃんが自ら手話サインを作り始めるというのも,ヒトのすごさをみせてくれますね。
気になる方が多そうなのは「発毛のカギ握る生体分子」。表面よりもさらに外側の方がずっとずっと熱い太陽の謎。北極圏の“火星基地”,昆虫の飛翔の謎など,今月も盛りだくさんです。

特集:脳の言語処理

言語の処理は脳の左半球で,図の模写など視覚的な空間認知にかかわる作業は右半球で行われている。では,視覚的な空間情報を使う手話はどこで処理されているのだろう。聴覚系に頼らない自然言語である手話から,脳での言語処理を探る

 

手話失語から探るメカニズム  G. ヒコック/U. ベルージ/E. S. クリマ

 

言語の獲得に聴覚は不可欠か  正高信男

 

 

 

発毛のカギ握る生体分子  R. L. ラスティング

髪の毛が伸びる仕組みが分子レベルで解明されつつある。毛髪の生成を調節している生体分子の全貌がわかれば,究極の「毛はえ薬」も開発できるだろう。

 

昆虫飛翔の空気力学  M. ディキンソン

昆虫はどんな仕組みで空を飛んだり,空中にとどまったりするのだろう。ロボットの実験から,羽を巧みに回転させたり,周囲の渦を利用して揚力を生むことがわかってきた。

 

変化アサガオの歴史と遺伝学  仁田坂英二

様々な花や葉をつける変わり咲きアサガオは,江戸時代の後期に突如出現した。謎に包まれた変化アサガオの起源を,遺伝学や分子生物学の最新知識で読み解く。

 

太陽のパラドックス コロナは表面よりなぜ熱い  B. N. ドゥイベディ/K. J. H. フィリップス

太陽の外層大気であるコロナは100万度以上もあるが,太陽表面は6000度しかない。冷たいストーブ上でやかんが沸くようなこの謎が,今解き明かされようとしている。

 

北極圏に火星基地をつくる  R. ズブリン

有人火星計画を目指し,科学者たちが昨夏,北極圏に火星模擬基地をつくった。地球で火星の環境に最も似たカナダ・デボン島で,今夏は8週間にわたり居住生活をする。

 

開発進む低公害HCCIエンジン  S. アシュレー

ガソリンエンジンとディーゼルの長所を生かす“異種交配”エンジンの研究が進んでいる。ガソリンエンジンより空気を汚さず,ディーゼル並みの燃焼効率を実現できるという。

 

 

 

世界の研究室から

 泥炭湿地林とマレーの人々  百瀬邦泰(インドネシア・ボゴール農科大学)

サイエンス考古学

サケの回帰/エンジニア/飛行士への酸素供給/オカピ発見/刈取機/『サイエンティフィック・アメリカン』誌創刊6 周年

TOPICS

期待高まる超小型燃料電池/気温とCO2の10万年周期説に証拠/日立が世界最小のICチップ/「酒は百薬の長」を立証できるか/太陽の光を帆に受けて/高圧下で窒素が半導体に/チンパンジーに見る「男の友情」/イルカは自己認識できるか/DNAの中に散在するSNP/米国人の身長が頭打ちに/量子細線は「電子の直行便」/地球の反射率が減少 気候変動にも影響か/復活するニューロン

地球 塩の旅

 地底岩塩博物館  文・写真 片平孝

右の世界,左の世界

 耳と脳で聴き分ける音の前後左右  黒田玲子×浜田晴夫(東京電機大学教授)

パズリング・アドベンチャー

 半分ウソつき  デニス・シャシャ

錯視のデザイン学

 見えることもあれば 見えないこともある心の補助線  北岡明佳

WAVE

 デジタル情報の消失に備え米国で対策が本格化/狙撃兵を探せ!/山頂の宇宙を訪ねて/

 宇宙人が出没しなくなった理由

ブックレビュー

 『ロボサピエンス』

 『泡のサイエンス』

 <連載>森山和道の読書日記 ほか

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