マントル対流が地表を突き動かす M. ガーニス
大陸の隆起や沈降など地殻の大規模な上下運動はなぜ起きるのだろうか。地球内部にあるマントルの複雑な運動が,その原動力になっているらしい。オーストラリアや北米大陸でかつて起きた上下運動の謎が,コンピューター実験で解き明かされた。
日本列島の命運握る「低温プリューム」 久保田啓介(編集部)
日本列島の地下には「低温プリューム」と呼ぶマントルの下降流があり,これが大規模な地殻変動の原因になる。
新しい金属系超電導体の発見 秋光純
ホウ素とマグネシウムでできた新しい金属系超電導体が見つかった。金属なので加工しやすく,送電ケーブルなどさまざまな産業応用が有望だ。新物質発見の背景には,野球の長嶋茂雄監督の発想に通じる独自の方法論があった。
光干渉計で星の素顔を探る A. R. ハジアン/J. T. アームストロング
過去半世紀以上の間,電波を使った干渉計は見事な成功を収めた。ここ15年で,光干渉計の技術も進歩し,天文学で使えるようになった。光干渉計はハッブル宇宙望遠鏡より100倍も鮮明な星の姿をとらえられる。
解き明かされる味覚の情報伝達 D. V. スミス/R. F. マルゴルスキー
味覚の研究はこの数年で急速に発展した。塩味,酸味,甘味,苦味,うま味といった基本の味を,舌の味細胞が味覚ニューロンに伝える仕組みが解明される一方,視覚との類似点から,味覚の情報処理機構の理解が進んでいる。
長生きできる“理想の人体” S. J. オルシャンスキー/B. A. カーンズ/R. N. バトラー
目や耳が悪くなったり,足腰が弱くなったり,人間の身体には老化にともなって不都合が生じてくる。人類が年をとっても健康でいられるように進化したとしたら,人体の外見も内臓も今とはだいぶ違うものになっていただろう。
カリブのトカゲが語る進化の謎 J. B. ロソス
木の根元にすむトカゲと枝先の種では同じアノール属のトカゲでも形態や生活様式がまったく違う。面白いことに,カリブ海の大アンティル諸島では,隣の島に行くと,同じような生息場所には同じような姿の別種のトカゲがいる。
LEDが達成した究極の白色光 M. G. クラフォード/N. ホロニアック/F. A. キッシュ
すべての可視光スペクトルをもつ発光ダイオード(LED)が普及し始めた。エジソンが発明して以来使われ続けてきた電球に,いまやLEDが取って代わろうとしている。
世界の研究室から
アンデスの砂漠にある宇宙への目 関口朋彦(欧州南天天文台研究員)
サイエンス考古学
低俗なテレビ番組/ステロイドの人工合成/クルップの兵器/黄熱病/これぞまさに1 馬力?!/鉄船時代/話題の麻酔薬/とんだ光明
TOPICS
中くらいのブラックホール/邪魔なタンパク質の処分/天で生まれた「生命の種」/究極のストップモーション/消えた炭素はどこに/磁気モーメントの謎/広がる角膜矯正手術/地動説が宗教界の怒りを買った本当の理由/右脳が握る「自分の顔」の認識/私はロボット宇宙飛行士/肉食恐竜に“毒牙’があった?/最長寿のバクテリアを発見?/生物種を分化させる細菌/チリに大型電波望遠鏡「ALMA」を建設へ
地球 塩の旅
石膏の砂丘 文・写真 片平孝
右の世界,左の世界
科学する心を紙で折る 黒田玲子×石原正三(埼玉県立大学助教授)
錯視のデザイン学
視覚の形態を哲学する手掛かり 北岡明佳
WAVE
ムーアの法則に挑む次世代リソグラフィ技術/DNA配列を表すデジタルデータに特許は認められるか/
モデムからケーブルが消えた/MITの学生を魅力的に変える日
最終回 数学レクリエーション
復活祭に見る準結晶パターン I. スチュアート
ブックレビュー
『スマリヤンの究極の論理パズル』
『日本のタンポポとセイヨウタンポポ』
<連載>森山和道の読書日記ほか