日経サイエンス 2001年2月号

特集:娯楽技術の未来

2000年12月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

定価1,466円(10%税込)

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編集部から一言

この号の特集は「娯楽技術」。映画製作がデジタル技術でどれほど劇的に変わるかの話は,ハリウッドを抱えるアメリカならではかもしれません。どうせCGの話だろうって? もちろんCGの話もありますが,それだけではありません。撮影の仕方まで一変しました。映画製作の裏話を見るようで面白いですよ。
話題を呼びそうなのは「絶滅に瀕した動物をクローン技術で救う」でしょうか。すでに絶滅危惧種に指定されているアジアの野牛が,普通のウシを代理母にしてクローン技術で生まれています。
ほかには,惑星間旅行を可能にする新型ロケットの話,大勢の患者を抱えながら治療薬不足に苦しむアフリカの状況,性格も研究スタイルもまったく違うフェルミとシラードの2人が共同で核分裂の連鎖反応実験を成功させる道筋などがあります。

この号の紙媒体には訂正がございます。「絶滅に瀕した動物をクローン技術で救う」のページをご覧ください。

特集:娯楽技術の未来

BSデジタル放送の開始などデジタル技術の急速な普及で娯楽が劇的に変わり始めた。パソコン,ゲーム機,携帯機器が押し寄せ,映画や音楽の制作・配給も様変わりするだろう。一方,著作権をめぐり新たな問題も懸念されている。

 

家庭に押し寄せる“メディア融合”  P. フォーマン/R. W. セントジョン

 

ハリウッドを襲う技術革新  P. ブロードリック

 

映画から俳優の消える日  A. R. スミス

 

誰もが主役になれるインタラクティブ技術  G. ダベンポート

 

ソフト著作権争いの前哨戦,音楽配信  K. C. ポールマン

 

 

絶滅に瀕した動物をクローン技術で救う  R. P. ランザ/B. L. ドレッサー/P. ダミアーニ

パンダを普通のクマに産ませたり,絶滅しそうなヤマネコを普通のネコに産ませたり―。クローン技術を使えばこうしたことも夢ではなく,すでに普通のウシが絶滅危惧種の野牛の仔を産んでいる。

※紙媒体の本誌には訂正がございます。申しわけありませんでした。この論文のページをご覧ください。

 

惑星旅行を身近にする新型ロケット  F. R. チャン・ディアス

従来のロケットは,力は強いが燃料を大量に使うか,効率はよいが力が弱い2種類しかなかった。最近,両者の長所を兼ね備えた第3のエンジンVASIMRロケットが登場した。

 

治療薬不足に泣くエイズ禍の国  C. エゼル

世界のヒト免疫不全(HIV)ウイルス感染者の大半がすんでいるアフリカでは,価格や政治的な問題もからみ,治療薬が手に入れにくい。薬剤療法が徹底できないため,薬が効かない耐性ウイルスが登場しているという報告もある。

 

核物理学者の執念が生んだ連鎖反応  W. ラヌエット

ファシズム政権を逃れて,米国に亡命してきたフェルミとシラードは,協力して世界初の核連鎖反応を成功させた。だが,性格も研究スタイルも異なる2人の間では,対立が絶えなかった。

 

 

 

世界の研究室から

 サラッと,そして遊び心  金出武雄(カーネギー・メロン大学ロボット研究所所長)

サイエンス考古学

 原子炉と科学/はやり風邪/チフスと戦争/テスラの電信技術/さらば,電話交換手/必殺料理人

TOPICS

米の核兵器研究所,模擬攻撃でシステム欠陥を探る試み/木をかじる音で害虫探知/有機半導体に有力候補/抑圧される記憶/白川筑波大学名誉教授にノーベル化学賞授与/米国で関心高まる妊娠中絶薬の行方/南仏の洞窟でネアンデルタール遺物の発掘盛ん/パソコンの空き時間を売る商売/太陽コロナの温度の謎に手がかり/米国がカナダ北部のダイオキシン汚染源?

地球 塩の旅

 月の谷の岩塩  文・写真 片平孝

右の世界,左の世界

 動物の活力を対称性で探る  黒田玲子×椿宜高(国立環境研究所上席研究官)

新連載 錯視のデザイン学

 パソコン利用で変わる試し図の作成  北岡明佳

WAVE

 遠隔手術をにらんでロボットシステム開発の動き/デジタル音声放送の行方/あなたの宇宙生活適性度は?

数学レクリエーション

 芸術的センスに富む動物たち  I. スチュアート

ブックレビュー

 『銃・病原菌・鉄』

 『物理なぜなぜ事典』

 <連載>森山和道の読書日記  ほか

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